iPhone 3GやiPod touchからニコニコ動画を視聴できるアプリが4月27日、公開される。アップルのアプリ販売サイト「App Store」から無料でダウンロード可能だ。ただし、提供されるのは日本のみとなる。
無線LANと第3世代携帯電話(3G)の両方に対応する。ただし、3Gの場合は回線速度などの問題により、スムーズに動画が再生されない場合があるため、無線LANの利用を推奨している。
機能については、ニコニコ動画内の動画検索、再生、コメントの書き込みといった基本機能が利用可能だ。また、ランキングやマイリストも利用できる。番組を生放送する「ニコニコ生放送」や、ニコニコ動画内でその瞬間に起きていることなどを紹介するコーナー「ニコニコ広場」などは利用できない。アフィリエイト広告の「ニコニコ市場」も掲載されていないが、これについては「動画紹介の下に今後表示させる可能性はある」と、アプリ開発を担当したドワンゴ研究開発本部研究開発部ソフトウェアエンジニアの溝口正仁氏は話す。
iPhoneアプリは携帯電話向けの「ニコニコ動画モバイル」をもとに開発した。ただし、ニコニコ動画モバイルがJavaをベースに作られているのに対し、iPhoneはObjective-Cという言語を使う必要があり、プラットフォームの違いから画質の調整には苦労したとのことだ。
また、大量のコメントを動画上に表示させる描画処理も苦労した点の1つだという。このため、コメントをリアルタイムに反映させるのではなく、動画を読み込む際にコメントもすべて取得してあらかじめ処理をし、動画のタイムラインに合わせてコメントを表示させるようにした。ただ、iPhoneに限らず、携帯電話向けのサービスは子どもなどが見ても問題ないようにコメントのフィルタをかけているため、表示されるコメント数はPC版に比べて少なくなるとのことだ。
iPhoneアプリの開発を始めたのは2008年11月ごろ。3月初旬には開発を終えていたというが、アプリの審査がなかなか通らず、4月末のリリースになったという。具体的にどういった点が問題になったかは秘密とのことだが、技術的な問題ではなく、運用面などでガイドラインに抵触したようだ。
今回リリースしたアプリは「ファーストバージョン」(溝口氏)といい、今後は「よりニコニコらしい感じに進化させていく」とのこと。アプリを無料化した理由については、「より多くの人にニコニコ動画を使ってもらいたい、という『一般化』の一環。プレミアム回線だとより快適に動画を視聴できるので、これでプレミアム会員(有料会員)が増えてくれればいい」とした。
有料アプリの展開については、考えていないという。「アプリを5000円にしたところで、あまり儲からないしユーザーからも喜ばれない。PCでもプレミアム会員と一般会員で機能の差はあまりなく、機能に差をつけた有料アプリというのも考えにくい」とのことだ。
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