“2年縛り”が終わっても解約増えず、収益は改善へ--ソフトバンク孫社長

永井美智子(編集部)2009年02月05日 19時53分

 ソフトバンクは2月5日、2009年3月期第1四半期から第3四半期までの決算(2008年4月〜12月)を発表した。また、2010年3月期の営業利益予想を公表し、端末を買い換えたユーザーの2年契約が終わることで月額割引がなくなり、同社の収益が改善していくとの見通しを示した。

 第3四半期の業績は、売上高が前年同期比3.7%減の1兆9822億円、営業利益は同5.6%増の2746億円、経常利益は同24.8%減の1744億円、純利益は同37.6%減の581億円であった。

 売上高が落ちたのは、ソフトバンクモバイルでの携帯電話販売台数が減少したため。一方、営業利益の増加にはヤフーの利益拡大と、ソフトバンクテレコムおよびソフトバンクBBのコスト削減が貢献した。経常利益、純利益については、2008年3月期にAlibaba.comの上場益を計上したことが大きい。

 2010年3月期は携帯電話事業の通信収入増加とコスト削減で、営業利益が前年同期比23.5%増の4200億円となる見込み。フリーキャッシュフローは営業利益の増加に伴い、同66.7%増の2500億円になると予想している。

 2008年秋頃から、ソフトバンクモバイルの2年契約の満期を迎える契約者が出てきている。これにより、月額利用料から毎月一定の額を割り引く「月月割」(旧「新スーパーボーナス特別割引」)をする必要がなくなり、その分通信料収入が増えるというのが同社の予測だ。

 ソフトバンクモバイル契約者の端末平均利用期間は、2007年3月期で24カ月、2008年3月期で28カ月だったが、2008年3月期の第1四半期から第3四半期までの場合、39カ月となっている。「(当社が月額利用料を)割り引きしないで済む月が平均で15カ月。ユーザーが2年契約を終えたら解約するのではないかという懸念があるが、実際のところ、解約率は上がっていない。収益を改善させるモデルができ上がっている」(代表取締役社長の孫正義氏)。第3四半期の解約率は0.91%で、NTTドコモやauに比べて高いものの、前年同期と比べて0.3ポイント減っている。

 このほか、端末契約時の審査を厳格化することで不正利用を減らし、貸倒金を減らすことでも収益を改善する。頭金不要の0円で端末を購入し、月々の代金を支払わずにそのまま持ち逃げするようなユーザーがこれまで多かったという。6カ月以内に解約する「大半が不正利用」(孫氏)の契約者が2008年3月期第2四半期、第3四半期にはそれぞれ10万件以上いた。これを2009年第3四半期には4万件程度にまで減らしている。割賦債権の貸倒引当金損失額についても、2008年3月期第4四半期には101億円計上していたが、今四半期は3億円にまで抑えた。

割賦債権の貸倒引当金損失額の推移 割賦債権の貸倒引当金損失額の推移

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