「『カメラ付きケータイ』を超えた『デジカメケータイ』というカテゴリを打ち立てる。ライバルはコンパクトデジタルカメラだ」--シャープは11月19日、携帯電話に本格的なデジタルカメラ機能を搭載することで、国内携帯電話市場でのさらなるシェア拡大を図るという方針を打ち出した。
これは同日、東京都内で開催されたシャープ製携帯電話の秋冬モデル説明会において、シャープ執行役員 通信システム事業本部長の長谷川祥典氏が語ったもの。
MM総研の調べによると、2008年度上期におけるシャープの国内携帯電話出荷台数シェアは23.2%で首位。シャープ調べでは10月のシェアも28.0%でトップといい、2008年通期で25%以上のシェアを目指す。「2006年からずっとシェア1位だ。今後もダントツシェアナンバーワンを目指していく」とシャープ代表取締役 兼 副社長執行役員の松本雅史氏は意気込む。
ただし国内の環境は厳しい。MM総研の調査では、上半期の出荷台数は前年同期比で21.2%減となった。2年契約の割賦販売が浸透したためと考えられ、この傾向は今後も続くとシャープでは考えている。「下期も同じくらい下がるのではないか。2007年が5000万台前後だったため、2008年は4000万台強と見込んでいたが、3800万台くらいまで落ちると見ている」(松本氏)
このような中でシャープが力を入れるのが、冒頭の発言にあった高性能カメラ搭載端末だ。800万画素のCCDカメラと、新たに開発した携帯電話向けの画像処理エンジン「ProPix」を搭載した端末として、NTTドコモ向け端末「SH-01A」「SH-03A」、ソフトバンクモバイル向け「930SH」の3機種を投入する。
携帯電話ではCMOSと呼ばれる低価格のイメージセンサが採用されることが多かったが、シャープではデジタルカメラで一般的に使われているCCDセンサを新たに採用した。これにより、暗い場所でも明るく、動きの早い被写体でもゆがみのない写真が撮れるという。
「携帯電話とデジタルカメラの2台を持ち歩く人は多い。これがあれば旅行先の景色や夜景、家族の思い出の写真も綺麗に残せる。デジカメいらずの時代がいよいよ来た。2008年をデジカメケータイ元年と位置づけ、新たな価値を提供する」(松本氏)
もう1つの成長エンジンとして位置づけているのが海外での展開だ。中国市場には6月よりAQUOSケータイを投入している。「調査会社によると、発売開始から3カ月で、4000万元(邦貨換算で約5万6000円)以上のカテゴリにおいて26モデル中3位に入った」(松本氏)とのこと。月間販売数は1万台程度だが、今後伸びていく市場と注目している。
欧米市場では、Windows Mobileを搭載したスマートフォンを中心に展開する。T-Mobile向けに販売している端末「Sidekick」が「発売日に行列ができるほどの人気」(松本氏)といい、年間100万台程度売れているとのことだ。
現在、シャープの海外向け端末の出荷台数は年間200万台と、同社全体の13%程度にすぎない。液晶テレビなどで培った中国での販売網などを生かして拡販し、将来的には海外と国内の比率を半々にしたいと話した。
スマートフォンとしては、Googleが開発したLinuxベースの携帯電話向けOS「Android」が注目されており、「Androidを使った商品を供給して欲しいという要求は受けている」と松本氏は認める。シャープはPDA「ZAURUS」などでLinuxを採用した実績があり、「開発効率が悪くならない形で、キャリアの意向に合わせてOSを選んでいく」(松本氏)とした。
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