米議会が間もなく「iPhone」を導入するとの一連の報道は、大幅に誇張されていたようだ。
TheHill.comは先週、米下院が議員らの強い要望を受け、同院で使用するモバイルコンピュータをBlackBerryからiPhoneに変更することを真剣に検討していると報じた。しかし、インターネット業界誌「Industry Standard」のJordan Golson氏は、その記事の内容に誤りがあることを明らかにした。Golson氏がChief Administrative Officer of the House(CAO)の広報担当ディレクターであるJeff Ventura氏に話を聞いたところ、CAOはiPhoneが下院での使用に適しているか否かを見極めるためにごく少数のiPhoneのテストを実施しているにすぎないと答えたという。
これは、先週掲載された記事の内容はVentura氏の話と食い違っている。いくつものニュースソース(残念ながら、その中にわれわれも含まれている)が先週、下院がiPhoneの導入を真剣に検討しているとのTheHill.comの記事を取り上げた。このような状況ではよくあることだが、同記事はすぐにブロガーたちの伝言ゲームの対象となった。そして、インターネット中に広まる間に話がさらに膨らみ、最終的にAppleコミュニティーの大半の人々が、1月の米国議会の開会時に議会はiPhoneを導入する方向であると信じるまでに至った。
28日午前にVentura氏へ電話取材を行ったところ、同氏はTheHill.comの先週の記事につけられた(「iPhones are a must-have for Congress(米議会ではiPhoneは必需品)」という)「事実と完全に異なる」見出しが注目を集めていることに笑い声を上げた。
Ventura氏によると、CAOの職員は現在、実験の一環として10台のiPhoneの簡単な検査を実施しているという。また、iPhoneの利用に関して(CAOに)問い合わせた議員はわずか2人しかいない。さらにiPhoneにはセキュリティに関する、考慮すべき深刻な問題があり、現状では、下院内でiPhoneを使用する場合、メールを同期化するためにiPhoneを物理的に自分のコンピュータに接続する必要がある。「われわれはこれらのことを進めるか否かを慎重に扱っている」(Ventura氏)
Golson氏が指摘するように、今回の記事がインターネット中に広まっている間に、われわれ(ジャーナリスト)のうち1人か2人でもVentura氏に確認を取っていれば、話が雪だるま式に拡大する事態は防げたかもしれない。しかし、Golson氏の記事は、インターネット接続の問題やその他の多くの記事に埋もれる形で発表が遅れ、公になったのは最初の記事が掲載されてから3日後のことだった、と同氏は電子メールで述べている。
ニュース事業を営んでいる人々が(ニュース発表の)速度やレトリックよりも調査や根拠の方が重要であることを再認識し、また、ニュースの視聴者がそれを要求するまで、今回のような事件は今後も起こり続けるだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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