大手携帯電話キャリア3社やヤフー、楽天などのネット企業らが集まり、インターネットを安心して使えるための環境を整備する協議会を設立する。ユーザーのリテラシー向上のための啓発活動のほか、自主憲章の作成、政策提言などをしていく。
協議会の名称は「『安心ネットづくり』促進協議会」。10月8日に設立発起人集会を開催し、11月7日から会員の募集を開始。2009年1月の設立総会を経て、2009年4月から活動を始める。
主な活動は3つ。1つは子どもや高齢者などのインターネットリテラシーを向上させるもので、シンポジウムの開催などを計画している。2つめは民間企業による自主的な取り組みを促進するもので、インターネット関連の事業者やサイト管理者が共有する目標を憲章として掲げ、必要な行動を取ると宣言できるようにする。
3つめは利用環境の整備に関する知見の集約。「みらいネット」(仮称)という機関紙を発行して活動を紹介するほか、政策提言をしていく。さらに、国内の啓発活動をまとめたポータルサイトを開設し、利用者が地域や年齢などに応じた情報を得られるようにする。
会員は年会費50万円以上の正会員、同5万円以上の賛助会員、地方公共団体や公益法人、学識経験者による特別会員の3種類がある。協議会では150社の会員獲得を目標としている。なお、事務局はインターネットの利用啓発活動「e-ネットキャラバン」を実施している財団法人マルチメディア振興センターが務める。
今回の協議会が設立された背景には、インターネット上の有害情報から青少年を保護することを目的にした、いわゆる「有害サイト規制法」が設立されたことなどがある。今回の協議会の世話人を務める慶応義塾大学教授の中村伊知哉氏は、「行政や政治からの要請もあり、民間としてより社会的責任を果たしていきたいという考えに基づくもの」と話す。民間主導で環境整備を進めることで、過度な規制を排除したいという考えもあるようだ。
今回の取り組みについて、発起人の1人でもある社団法人日本PTA全国協議会会長の曽我邦彦氏は「子どもたちはインターネットや携帯電話の使い方を学校で習っており、保護者もできることなら子どもたちに与えたいと思っている。しかし、それを与えたために危険な問題が起きているのも事実だ。今後、インターネットのない社会というものがあり得ない以上、インターネットがあっても大丈夫なようにすることが重要」と意義を述べた。
さらに曽我氏は、「個別の企業と1社ずつ話し合うことは難しく、こういう話し合いの場がなければ国や自治体に言うしかなかった。こういう場はもっと早くできて欲しかったくらいだ」と話し、保護者の代表とサービス提供者が直接話し合いの場を持つことで、環境整備が進むとの期待を明らかにした。
なお、発起人は以下のとおりとなっている。
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