ニューヨーク発--Googleの「Android」を搭載した初の携帯電話は美人コンテストでは優勝できないかもしれないが、ソフトウェアと最先端のウェブ閲覧機能により、「iPhone」をはじめとする今ある多くのスマートフォンと互角に戦っていけるだろう。
T-Mobile USAとGoogleは米国時間9月23日、ニューヨークで開催されたイベントで、初のGoogle Android搭載携帯電話を発表した。これまで「HTC Dream」という開発コード名で呼ばれていた携帯電話の名称は「T-Mobile G1」になる。米国では、10月22日から、2年契約付きで179ドルにて販売され、T-Mobileのネットワーク上での利用が開始される。
また、T-Mobile USAの親会社であるDeutsche Telekomは、イギリスでも11月からT-Mobileのサービスを介してG1を販売する見込みで、2009年第1四半期には、欧州全体でも利用できるようになる予定だ。
ハードウェア面から見れば、G1は競争の流れを変えるものではない。外側のタッチスクリーンをスライドすると現れるフルQWERTYキーボードを備えたG1は、T-Mobileの「Sidekick」やVerizon Wirelessの「LG Voyager」など、現在市販されているほかの携帯電話と見た目は似ている。
しかし、内部にあるGoogle Androidソフトウェアは、ユーザーの携帯電話でのウェブ閲覧時のエクスペリエンスを大きく向上するため、G1はAppleのiPhoneとは互角に勝負し、Research In Motion(RIM)の「BlackBerry」などのスマートフォンやMicrosoftの「Windows Mobile」OSを搭載した携帯電話には楽勝できる。
とは言うものの、G1がスマートフォン市場で多大な影響を及ぼすには、まだまだ克服しなければならない障害がいくつかある。G1は企業メールに対応していないため、Gartnerの調査によれば2008年第2四半期のスマートフォン市場の55%以上を占めていたRIMや第2四半期に米国で販売されたスマートフォンの約20%を占めていたWindows Mobileから市場シェアを大きく奪う可能性は低い。
T-Mobile USAの最高技術革新責任者であるCole Brodman氏が発表会で公に認めた通り、今のところ、G1のターゲットは個人ユーザー市場だ。
一方、T-Mobileの幹部と、Googleのモバイル部門の最高幹部であるAndy Rubin氏とRich Miner氏は、OSがオープンなため、サードパーティーの開発者は、G1を企業メールに対応させるアプリケーションを簡単に作成できると述べた。ゆくゆくは、G1ユーザーは「Android Market」から携帯電話にそれらのアプリケーションをダウンロードできるようになる。
当然のことながら、MicrosoftのWindows Mobileグループ製品担当マネージャーであるScott Rockfeld氏は、企業向けアプリケーションがないことはG1の大きな弱点だと見ている。
「Microsoftの戦略は、1台で生活全般に使える携帯電話を提供することだ。GoogleがG1で提供するものとは違う。Googleは、企業ユーザーが期待する多くのビジネスアプリケーションをサポートしていない。Googleはビジネス市場全体を完全に無視している」(Rockfeld氏)
しかし、ウェブの閲覧に関しては、Googleは、現在、他のほとんどのスマートフォンで提供されているものよりも優れたユーザーエクスペリエンスを作り出している。そしてこのことは、携帯電話で安定してインターネットを閲覧したいと思っている個人ユーザーにアピールするスマートフォンを探していたT-Mobileにとって、非常に重要だった。
T-Mobile USAの製品開発担当バイスプレジデントであるLeslie Grandy氏は、「スマートフォンに関心を持つ誰もがスマートフォンで常に電子メールをチェックしたいと思っているわけではない。G1は携帯電話でのネットの閲覧を可能にし、これまでの携帯電話ではできなかったことを実現する」と述べた。
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