慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構デジタル知財プロジェクト(DIPP)は7月17日、コンテンツ政策フォーラム「モバイルコンテンツとプラットフォームの新展開」を開催。モバイル分野で活躍する事業者を集め、現状や課題について議論した。
パネリストとして参加したのは、インフォシティ代表取締役の岩浪剛太氏、SOZO工房取締役パートナーの太田清久氏、総務省総合通信基盤局事業政策課長の谷脇康彦氏、インデックス プリンシパルの寺田眞治氏、慶応義塾大学メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏、日本通信常務取締役CFOの福田尚久氏、グーグル ポリシーカウンセルの藤田和夫氏、ジェーシービー市場開発企画部長の森克美氏の8名。
登壇者のほとんどが指摘したのは、プラットフォームをにぎる通信キャリアが優位性をもってビジネスをコントロールしている現状と、それに伴う世界的な競争力の弱さだ。日本通信の福田氏は「iモードをはじめとする携帯電話インターネットは日本国内で1億人が利用しているとされるが、世界ではほとんど利用されていない」と断言。その上で、私的な予測として「数年後にはフルブラウザなどに対応した端末に市場を奪われることになる」と述べた。
クレジットカード会社の立場から、総務省の研究会である通信プラットフォーム研究会にも参加したジェーシービーの森氏は「携帯電話事業者が代金回収代行業をしていることで、(クレジットカードと)競合関係にあるものの、有効な競争状態が作られていない」と現状を分析。「通信事業者の無線局免許は、電気通信業務を認めるもの。それなのに、回収代行業を含めて、およそ範囲外と思えることまで垂直統合型で独占的にできてしまっている」と疑問を投げかけた。また、「(各社の)プラットフォームを横につなげるのが難しいのであれば、当社のような第三者が共通プラットフォームを作ればいい」とした。
モデレータを務めた慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 准教授の金正勲氏と、登壇した中村氏から挙がったのは「プラットフォームの定義とは何か」との疑問。これに対して総務省の谷脇氏は「基本的には、認証基盤を持つ者と位置付けている」と説明した。
その他、7月に発売され話題となっているアップルのiPhoneについては、インデックスの寺田氏が「来るものが来た」と感想を述べた。その上で「日本のベンダーやコンテンツプロバイダーも早い段階から同様のビジネスを考えていたが、なかなかやらせてもらえなかった。そうしているうちに、海外のモデルがそのまま入ってきてしまった。インターネットと同様の失敗を繰り返さないためにも、官から思い切った策が出てきてもいいと少し思う」と官の取り組みに期待を寄せていた。
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