WWDCでのSteve Jobs氏の基調講演の最初の1時間、わたしは、ソフトウェアに関するだらだらとした長話につきあって、午後を無駄に過ごしているのはなぜだろうと考えていた。しかし、Jobs氏がステージに上がり、新しい「iPhone 3G」を披露したときは、まさに喜びの瞬間だった。
もちろん、iPhoneは、MMS以外はわれわれの予想通りだったが、それでもやはり購入意欲をそそるものだった。iPhoneは、個人向けの携帯電話としてのステータスを維持する代わりに、誰もが使える携帯電話になった。iPhoneが狙いを定めているのはRIMだ。
RIMは現時点ではエンタープライズ市場のリーダーといえるだろう。Microsoftなどの企業は独自のスマートフォンを持つことができると絶えず主張するだろうが、一騎打ちであることは確実だ。RIMの「BlackBerry」は市場をリードしているが、Steve Jobs氏はまさに、RIMに降伏を強いるだけでなく、BlackBerryシリーズが終わりを迎える可能性のある決定打を放った。
最初は極端に聞こえるかもしれないが、本当に、Appleは正しい選択をし、完ぺきな試合をしている。そして、Appleが問題なく7月を乗り切れば、RIMは市場からのけ者にされてしまうだろう。
わたしが新しいiPhone 3Gを高く評価する理由はなぜか。これまで1年間使ってきた古いiPhoneを単にアップデートしたものではないのか。2007年、圧倒的過ぎるほどの熱狂で迎えられ、今日では失望されているように見える製品が合理的に進化しただけではないのか。
そうではない。
iPhone 3Gは、AppleがRIMに向けて放った最初の実弾だ。RIMはこれまで、自社には最強馬がいると確信していると語ってきた。もちろん、現時点ではそうかもしれない。しかし、7月11日にRIMがまだ自社の馬が最強だと言えるかどうかは分からない。
第1に、iPhone 3Gは高速だ。RIMがすでに高速なBlackBerryを市場で販売しているとしても、それらはiPhoneではない。
第2に、iPhoneでは、近いうちに、企業や個人がサードパーティーのアプリケーションを作成、インストールできるようになるだろう。RIMがすでにBlackBerry向けのサードパーティー製アプリケーション、あまり洗練されていないが同じようなプログラムを持っているとしても、それはiPhoneではない。
第3に、iPhoneには、企業が待ち望んでいたビジネス機能が組み込まれている。RIMは現時点では最も企業に優しい企業であり、BlackBerryは多くのプロに選ばれている製品だが、BlackBerryはiPhoneではない。
わたしがどんな結論に行き着いているのか、読者にはお分かりだろうか。
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