「iPhoneは形状もビジネスモデルも違う。既存の携帯電話とは棲み分けが起こり、『もう1台持とう』というようになるだろう」――NEC執行役員でモバイルターミナル事業本部長の山崎耕司氏は、アップルのiPhoneが日本市場に与える影響について、このように予想する。
山崎氏から見ると、iPhoneは大きく2つの点でNECなど既存のメーカーが提供する携帯電話端末と異なる。1つはタッチパネル式の、両手が必要な操作性。そしてもう1つが、通信事業者が利用者の通信料の一部をアップルに支払うというビジネスモデルだ。
タッチパネル式はさまざまな操作を可能にする一方で、片手で端末を持ちながら操作するのは難しい。電車の中で荷物を片手で持ちながらケータイをいじる、といった使い方がiPhoneでは難しいというわけだ。
もう1つが通信料を携帯電話事業者とアップルが分け合うビジネスモデルだ。既存の携帯電話の場合、携帯電話事業者がメーカーから端末を買い取り、消費者には格安で提供して月々の通信料金で回収する、というモデルだった。これをアップルは、端末を通信事業社に割安で提供する代わりに通信事業者から月々の通信料金の一部を得るというモデルに変えた。これまでの携帯電話事業者とメーカーの力関係が完全に変わったと言ってもいい。
山崎氏は「われわれは収益を分け合うモデルは考えていない」とiPhoneモデルに移行することには否定的で、iPhoneがNECと直接競合するような存在になるとは考えていない。
iPhoneの弱点として、山崎氏がもっとも注目しているのが電池の持ち時間だ。国内で発売される端末の詳細は一切明らかになっていないが、周波数帯の高い第3世代携帯電話の場合、第2世代携帯電話よりもより多くの電力を必要とする。さらに音楽や動画などのサービスを使うと、電池の減りはそれだけ早くなる。かつてNTTドコモのFOMAがなかなか普及しなかった原因の1つが電池の持ち時間にあったことを考えると、iPhoneが乗り越えるべき課題となりそうだ。
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