Appleはついに、「iPhone」のデザイン性を切望しながらも、仕事用電子メールのプッシュ配信を不可欠としていたビジネスユーザーの要望をかなえた。
これまで電子メールをiPhoneで受信したいと考えるユーザーは一連の技術的な関門をくぐり抜ける必要があった。その結果、本来ならすぐにでもiPhoneを購入していたはずの多くのビジネスユーザーはiPhoneをうらやみながらも手を出すことができず、「BlackBerry」や「Windows Mobile」ベースの携帯電話を選択していた。
しかし、今後はこうしたビジネスユーザーも仕事の電子メールをWindows Mobileベースの携帯電話やBlackBerryと同じように簡単にiPhoneで受信できるようになる。Appleは米国時間3月6日、カリフォルニア州クパチーノの本社で開催されたイベントで、Appleが「Microsoft ActiveSync」プロトコルのライセンスを取得したと発表した。ActiveSyncプロトコルを採用するとExchangeサーバを使用した電子メールや連絡先情報のプッシュ配信がはるかに容易になる。
Appleのワールドワイド製品マーケティング担当シニアバイスプレジデントであるPhilip Schiller氏は、舞台上でiPhoneをアクティベートし、Exchange機能を設定する方法を実演した。すべての設定作業は無線で実行でき、電子メール、連絡先情報、カレンダー情報を自動的にiPhoneにプッシュ配信することができる。
この発表はAppleにとって大きな意味を持つ。というのは、Appleがビジネス市場に打って出る上で直面していた障害の1つが取り除かれるからである。またこれによってプロシューマーと呼ばれる消費者層に対するiPhoneの訴求力が増した。プロシューマーは個人的な使用のために携帯電話を購入するが、自分の携帯電話から企業の電子メールなど一部のビジネスアプリケーションにもアクセスする。
現在のところ、Research in Motion(RIM)はビジネススマートフォンの分野を支配しており、同社の1200万人の加入者の3分の2以上が企業や政府系機関のユーザーである。大企業は早くからRIMのプッシュ型メールシステムに加入しており、このシステムでは大企業は自社のすべての電子メールをRIM自身のサーバを経由してルーティングする必要がある。RIMのBlackBerry電子メールサービスはその大部分において大きな成功を収めてきた。しかし、RIMの支配が揺らぐ可能性を示す兆候もあらわれている。過去6カ月でRIMは少なくも2回、電子メールがすぐにBlackBerryに配信されないという大規模な障害に見舞われた。
RIMの共同最高経営責任者(CEO)であるJim Balsillie氏は、最後の障害が発生した1日後、障害が企業ユーザーとの関係に影響を与えるとはそれほど心配していないと述べた。しかしAppleが企業ユーザーも電子メールを簡単にiPhoneで受信できるようにしていることから、Balsillie氏も考えを改めるかもしれない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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