スペインで開催中の携帯電話関連の国際展示会「The World Mobile Congress 2008」では、LTE(Long Term Evolution)もしくはSuper 3Gと呼ばれる次世代の通信規格が1つの大きなトピックになっている。早ければ2010年にもサービスが開始されるこの技術の魅力とはなんだろうか。
LTEとはW-CDMAの高速化規格。NTTドコモは第3世代携帯電話の上位版という意味を込めてSuper 3Gと呼んでいる。複数のアンテナを利用することで高速化し、100Mbps以上の高速通信が可能になる。NTTドコモは2009年までに技術開発を完了させる計画で、Ericssonのほか富士通、NEC(Alcatel-Lucentと合弁会社を設立する予定)、松下電器産業(Nokia Siemens Networksと協力)を基地局ベンダーとして選定している。2010年度中にサービスを開始したい考えだ。
海外では米Verizon CommunicationsがLTEの商用化に向けて動いている。
LTEは、いわばFTTHの無線版。屋外などどこにいてもストレスなくインターネットを利用できる環境を提供できるようになる。
通信事業者にとって、LTEの魅力は高速サービスが提供できるだけではない。現在のW-CDMAで利用している周波数帯をそのまま利用できるため、既存の設備に大きな変更がいらない。また、遅延速度が「5mm秒程度」(NTTドコモ)とほとんどないため、格闘ゲームのような対戦ゲームなども可能になる。
W-CDMAの高速化技術としては、HSPA、もしくはHSPA+と呼ばれる技術もある。たとえばEricssonは、2008年中にHSPAによる通信速度を下り21〜28Mbps、2009年には同42Mbpsにまで高める計画だ。オーストラリアの通信会社であるTelstraはHSPA+(HSPA Evolution)技術を採用し、2009年中に下り最大42Mbpsのサービスを始める計画を明らかにしている。
通信会社がLTEを選ぶか、HSPAを選ぶかは大きな選択になる。この点についてEricssonのディレクターで無線通信技術に関するマーケティングポートフォーリオの責任者を務めるJeanette Fridberg氏は、HSPA技術も100Mbps超を目指していることを認めたうえで、「どちらも高速だが、HSPAの場合は100Mbps程度が上限。LTEの場合はスタートラインが100Mbps超なので、そこからさらに高速化していける」と話す。どちらの技術がよいかは、通信会社の戦略によって異なるとした。
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