Eastman Kodakはチップ設計の1つの考え方を逆転させることによって携帯電話に付属するカメラの性能を改善し、少なくとも数メガピクセルの増加に匹敵するほどの画質の向上が期待できると考えている。
「当社では本物のカメラのセンサに匹敵し、さらにカメラ付き携帯電話でも使用できるほど小型の新しいカメラセンサ製品を開発したと考えている」とKodakのプロフェッショナル&アプライドイメージ部門のCMOSマーケティングワークのマネージャーであるFas Mosleh氏は述べている。
Nokiaの「N95」などハイエンドの携帯電話には優秀なカメラが搭載されているが、Kodakでは、5メガピクセルセンサ製品に組み込まれ、2008年末までに出荷される予定の同社のテクノロジによって、メインストリームの携帯電話にさらに高性能のカメラを搭載できるようになると考えている。
現在、半導体チップは基本的に、光に起因する電子が画像センサの1つのピクセルにぶつかる個数を数えることによって光を検出している。光が強くなるほど電子の数が多くなり、その電子信号はデジタルデータに変換できる。
しかしKodakは、電子の欠落を検出する、つまり電子の代わりに「ホール(正孔)」の個数を計測するように画像センサの設計の配線を変更することによってある程度の性能の向上が実現できると考えている。そのためには、センサ回路の一部の配線を変更する必要があるが、Kodakではこのテクノロジは従来のセンサよりもノイズが少ないと主張している。
Kodakが断言する内容を要約すると、画質が向上するということである。または、ほとんどの室内の撮影シーンで遭遇する光量の少ない条件でも同じ画質の写真が撮れるということである。
画像センサの基本的な問題は、光の信号(センサにぶつかる実際の光の粒子)とセンサ内の電子ノイズを区別するのが困難なことである。この問題はピクセルが小さくなるほどひどくなるので、ピクセル数が増えることは必ずしも性能向上にはつながらない。
「画像の解像度が向上しているために画質は劣化している。ピクセリゼーションは改善されているが、低光量下の性能は低下している」とMosleh氏は指摘する。「2003〜2004年ごろのカメラ付き携帯電話を取り出して2008年の製品と比較してみれば、古い製品の方が良い写真が撮れるだろう」(Mosleh氏)
Kodakでは製品化のために、このホール検出テクノロジを新しいカラーフィルタアレイ(Kodakでは「Clear Pixel」と命名している)と組み合わせている。このカラーフィルタアレイは、一部のピクセルを色ではなくて明るさの測定に使用することによって低光量下での性能をさらに向上するように設計されている。
「KAC05020」という名称の5メガピクセルテクノロジのパッケージは、大きさが約0.25平方インチ(1.6平方センチ)の小型パッケージにも収まり、価格は同梱される関連テクノロジとソフトウェアによって異なるが、大量購入時で3〜6ドルであるとKodakでは述べている。また、720pの高品位ビデオのキャプチャもサポートする予定だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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