検討会にはミクシィやヤフー、楽天の代表者も出席し、フィルタリングサービスの原則加入に対する懸念を述べた。
ミクシィ代表取締役社長の笠原健司氏は「利用者が18歳になってもフィルタリングは自動的に外れず、身分証を持って代理店で手続きする必要があると聞く。そうなると、年を重ねるごとにフィルタがかかったままのユーザーが増えることになる。フィルタリングを卒業するのではなく、フィルタがかかったユーザーが量産されるとしたら、Web 2.0型のサービスやサイト検索などの一般的なサービスさえ使えないモバイル環境がどんどんできてしまい、ネットサービス自体がなりたたなくなる」と指摘。一定以上の年齢を超えたら、申し出がない限り自動的にフィルタリングは外れるべきではないかと提案した。
ヤフーCOO(最高コンプライアンス責任者)兼法務部長の別所直哉氏は、自社で子ども向けに提供しているPCサービス「Yahoo!あんしんねっと」を紹介。アダルトなど子どもが見るのに適していないサイトにはアクセスできないようにフィルタをかけているほか、掲示板などのコンテンツはブロックするかどうかを保護者が決められる機能を持つ。利用料金は無料で、2008年1月時点での利用者数は約17万人だ。
ヤフーではフィルタリング機能の精度検証を4半期に1度行っているといい、有害サイトをきちんと判断しているか、また有害でないサイトを誤って有害と判断していないかといったことを数値化して他社製品と比較している。「できれば、どういった検証をしているかという方法論を含めて公開していきたい。ベンチマークを共有し、ユーザーがデータを元にどれを使うかを選べるようにすることが大事。また、これにより適切な競争が起きるのではないか」(別所氏)
現在携帯電話事業者が提供しているフィルタリングサービスについては、小学生から高校生までの人が同じ制限の下でしか利用できないのは利用実態に合っていないと分析。「フィルタリングは事業者のためのものではなく、子どものためのものでなければ意味がない。きちんと使われるサービスにする必要がある」(別所氏)
「100%安全な環境というものはなく、フィルタリングは『無菌室』を作るものではない。子どもの成長過程で必要な物を必要に応じて出していくツールとして考えていくべき」(別所氏)
楽天CEOオフィス渉外室室長の関聡司氏は、フィルタリングサービスの未成年原則加入について、「言語統制にもつながりうることをするべきではない。利用者の個別判断にゆだねるべきだ」と強く批判。特に、ドコモとKDDIが公式サイト以外の一般サイトがアクセスできない「ホワイトリスト方式」のフィルタリングサービスに原則加入させようとしていることについて、「健全なコンテンツビジネスの展開の妨げにならないように配慮すべき、という総務大臣の要請に沿っていない」と反対した。
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