auに続いてNTTドコモがGoogle検索を採用したことで、モバイル検索市場が大きく変わろうとしている。モバイルサイトの運営者やモバイル検索連動型広告の出稿主は、今後どのような戦略を描くべきなのか。このような問いに答えるべく、アイレップ主催の「最新モバ イルSEM戦略セミナー」が1月29日に開催された。
第1部では、同社取締役でサーチエンジンマーケティング総合研究所 所長の渡辺隆広氏が「モバイル検索の進化とモバイルSEO対策のポイント」と題して講演。おもに技術面に焦点を当て、モバイルSEO対策のヒントを語った。
昨今のモバイル検索の動向で見逃せないポイントとなっているのは、やはりドコモとGoogleの提携。渡辺氏は、電子通信事業者協会が発表した2007年12月時点における携帯電話シェアを引用し「ドコモが51%、auが28%。合算すると、Googleが8割を獲得することになり、モバイル検索にもGoogle時代が到来する」と述べ、モバイルSEOはGoogleの検索結果でいかに上位に表示させるかが重要になると解説した。
また、渡辺氏はGoogleが2007年5月に打ち出したユニバーサル検索構想にも注目する。ユニバーサル検索とは、1度の検索で、ウェブサイトのみならず、画像やニュース、地図、書籍といった異なる種類の情報を横断的に検索するもの。
「検索結果に応じて最適な異なるコンテンツを表示するという傾向はモバイルのほうが強い。この方式だとターゲットにしているキーワードが検索結果の1位にならないということが起こりうる。これからはウェブページだけでなく、画像やその他のコンテンツもSEOの対象にしていくべき」と渡辺氏は分析した。さらに「今後のGoogleはパーソナライズド、ソーシャルグラフ、ユーザー行動に焦点を当てて進化していくだろう」と予測した。
ただし、渡辺氏によると、モバイルSEOはまだ不透明な部分も多いともいう。「米国のユーザーは7割がキャリアの検索エンジンを無視してGoogleを使っている。これはつまりモバイルユーザーは基本的には精度の高いエンジンがあれば乗り換えるということだ。結局は品質次第で他の検索サービスが中心になる可能性もなきにしもあらず」と述べ、Google以外の検索エンジンに関しても基本的な対策をしておく必要性があるとした。
第2部では同社取締役でインターネットマーケティング事業部長の紺野俊介氏が登壇。「最新 成功するモバイルリスティング広告戦略」と題して、おもに広告側の視点からモバイル検索の対策手法を解説した。
紺野氏によると、2007年度のSEM市場規模は全体で約1800億円。うちモバイルSEMが占める割合は10%程度だという。Googleとドコモの提携や、優良なモバイルコンテンツの台頭、モバイルコンテンツ連動型広告の成長などから、2008年もさらなる伸びが予想されるが、モバイルSEMがSEM市場全体の20%を超えるのは難しいと予測する。紺野氏は「モバイルは検索クエリーの数がそれほどない。よほどの環境の変化がないと20%というのはあり得ない」と語った。
モバイルSEMでは、モバイル独特の検索キーワードの特性を理解することが重要だと紺野氏は言う。調査によると、モバイル検索では86.7%が1語検索。ただし、検索キーワードのバリエーションが多いというのも特徴だ。また、即時性や衝動性、時間と場所を限定している点などが特徴といい、モバイルSEM戦略はこうしたユーザーニーズを把握することが不可欠だという。
また、モバイルリスティング広告の出稿は、予算と規模に応じて管理を分けることがポイントだという。最近、日本でも導入が進んでいる、金融理論を実装したツールについて、紺野氏は「有益だが、媒体性は理解しにくい」と問題点を指摘。入札か固定単価かといった価格の設定方式や広告表示のしくみなど、媒体ごとの特性を把握し、人的に管理していくことが重要だと語った。
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