11月15日、楽天執行役員広告事業長兼楽天・ファスト・モバイルサーチ代表取締役社長の小林司氏がWeb2.0 EXPOで「広告2.0-モバイルリサーチが広告を変える」と題した講演を行った。
昨今のモバイルを取り巻く環境は、デバイスの進化や公式サイトの再編、一般サイトの成長、メディア連動など大きく変化している。また、2005年6月にGoogleが携帯向け検索サイトを開始したのを皮切りに、キャリア側も検索サイトへの取り組みを強化し、非公式サイトへのトラフィックは増加の一途をたどっている。
小林氏は「モバイルサイトへのアクセス経路は、従来は公式メニューから公式サイトへ誘導するという限られたものだった。しかし現在は、検索サイトをはじめ、SNS、ブログ、QRコード、空メールなどといった多様な経路から非公式サイトへアクセスできる」と述べ、モバイル検索が今後市場に与える影響の大きさを強調した。
ロボット型とディレクトリー型の検索方式に大分される、PCの検索サービスに対して、モバイルの検索方式は異なるという。
現在のモバイル検索サービスは、インデックスしてある内容を関連トピックに自動的に分類して検索結果に表示する“クラスタリング検索”“ディレクトリー検索”、モバイルのコンテンツごとに検索する“バーティカル検索”、キーワードや地名で店や駅などを検索する“位置情報検索”、メールでキーワードを送信して検索結果をメールで受信する“メール検索”のおもに5種類に分類することができ、「モバイル検索は、位置情報と時間が切り口となるのが特徴だ」と語った。
一方、ほとんどの企業がPCインターネット向けのサイトを持っているのに対して、モバイルサイトを持っている企業はわずか3割程度に留まるのが現状だ。小林氏は「モバイル検索はニーズがまだ顕在化していない。さらに検索精度のアルゴリズムや操作性についてもまだまだ課題が多い」とし、モバイル検索がいまだ発展途上段階にあることを主張した。
しかし、このようにいまだ多くの開拓の余地が残されているからこそ、今後の市場に与えるインパクトが期待されているのもモバイル検索だと言える。そのようなか、楽天がノルウェーを拠点とする検索技術開発会社のファストサーチ&トランスファ社(ファスト)と2007年9月に設立した合弁会社が「楽天・ファスト・モバイルサーチ」(楽天ファスト)だ。
小林氏は、ファスト社との共同開発による検索エンジンのβ版を11月6日からInfoseekモバイルに実装したことを明かし、「ファストのサーチエンジンは、文章中のエンティティ(人、場所、会社、日付など)を抽出する機能により検索精度が高い」と、その特徴を紹介した。
また、昨今のモバイル検索について「サーチ結果をパーソナライズしていかないとユーザーのニーズにたどり着かない」と述べ、楽天ファストでは、検索に加え、“ナビゲーション”“パーソナライゼーション”“リコメンデーョン”の3つの機能を付加価値としていく方針を語った。
さらにその意義について、「リコメンデーションはロングテールに隠された価値ある商品情報やコンテンツへと消費者を導くことができる。蓄積されたユーザーのネット、リアルでの行動履歴に基づき、ユーザーの趣向や潜在ニーズ、行動パターンを把握し、パーソナライゼーション、リコメンデーョンされた広告を提供していくことにより、購買転換率を向上させていきたい」と述べ、今後は楽天グループで蓄積されたデータベースを武器に、ビジネスを展開していく意向が語られた。
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