【ロンドン=木村正人】英国のテレビ界で、携帯電話のショートメールサービス(SMS)などを使った視聴者参加型番組で、不祥事が相次いでいる。勝者が決まっているのに投票を続けさせ、SMSの送信料の手数料などの不当な収入を得たことが明らかになり、視聴者の批判を浴びている。
欧米では多チャンネル化や米動画投稿サイト「ユーチューブ」などが台頭しており、危機感を募らせた英国の各テレビ局は2000年以降、クイズや音楽コンテスト、デートなど視聴者参加型番組を導入、02年には業界全体で計3番組、ピークの05年には計18番組にものぼっている。
その過程でSMSや特別料金電話、衛星テレビやケーブル・テレビの端末を使って、コンテストの勝者を選んだりクイズに答えたりする手法が急速に普及。双方向性が視聴者の心をとらえ高視聴を記録するほか、スポンサーにとっても視聴者の動向がつかみやすいとのメリットがある。
しかし、BBC放送の子供向け番組や人気募金番組などでも最近、視聴者投票を続行しているのにスタッフが勝者になりすましたり、デタラメに勝者を決めていたことなどが分かり、視聴者から批判の声が出ている。
さらに、SMSなどを使うと、視聴者投票を通じ思わぬ収入がテレビ局に転がり込んでくることが判明。
通信・放送規制機関オフコムの資料によると、SMSの送信料が1・5ポンド(340円)した場合、89ペンス(201円)がテレビ局と番組制作会社に入る。視聴者参加型の全番組で使われたSMSの送信料は年間計1500万ポンド(33億9783万円)でうち900万ポンド(20億3870万円)が、特別料金電話を使ったケースでは同1億400万ポンド(235億5830万円)のうち7600万ポンド(172億1570万円)がテレビ局と番組制作会社の収入になっていた。
先月末、英民放最大手ITVのクイズ番組で勝者が決まっているのに視聴者投票を続けさせ、総額20万ポンド(約4500万円)も過剰徴収していたことが発覚。不当に収入を得ていた責任を取って番組制作会社の社長がこのほど辞任を表明する騒ぎがあった。
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