総務省は3日、携帯電話の将来像を検討する「モバイルビジネス研究会」が先月26日に公表した、携帯電話の利用規約を2010年をメドに大幅に変更するとの方針を盛り込んだ報告書案に対する意見募集の結果を発表した。報告書案では携帯端末の値引き分を通信料から回収するなどの現行の商慣習を改めるよう段階的に是正を促すとしたが、これに対しイー・モバイルを除く携帯事業者は「他の方法もある」などの意見をぶつけた。
9月に公表する報告書でも、利用者利便の向上に向けた規約の見直しは避けられない情勢で、携帯各社は、早くも新形態をにらんだ料金体系の検討に着手している。
「端末の販売奨励金と通話料の見直しで対応する」。NTTドコモの中村維夫社長は先月27日の会見で、総務省に意見書を提出している最中だったにもかかわらず、報告書案の意向に沿った体系に変更すると宣言した。
モバイルビジネス研究会の報告書案は、携帯の販売代理店が携帯会社から販売奨励金を受け取って端末の値下げ原資とする商慣習の見直しを促すことを盛り込んだ。現在、携帯会社は端末1台当たり平均4万円の販売奨励金を支払い、旧モデルの店頭価格で「1円」などを実現している。
ただ、販売奨励金の負担額を毎月の通信料に上乗せ徴収しており、長く同じ端末を使う人が損をする不公平な仕組み。
総務省は08年度をメドに段階的に端末価格と通信料を完全分離した料金制度の導入を始め、10年度にも本格導入に向けた評価を行う方針。実現すれば端末価格は5万〜6万円となるが、通信料は割安になる見通し。
携帯各社は、報告書案に懐疑的な意見も提出したが、実際は「意向に沿った料金を考えている」(小野寺正KDDI社長)としており、事実上、“容認”している。
一方、現在は電話番号などの情報を記録したICカード「SIMカード」を携帯事業者が自由に着脱するのを防ぐ「SIMロック」を設けているが、報告書案は、利用者が携帯事業者を変えても同じ端末をそのまま使えるよう、10年度をメドにSIMロックも解除する方向を示し、携帯各社は賛同した。
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