角川モバイルは7月2日、角川グループの動画コンテンツを携帯電話向けに配信するモバイルサイト「iムービーゲート」を開設した。アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」や映画「時をかける少女」などの人気コンテンツをNTTドコモ向けに提供する。
角川モバイルは2005年12月に設立された携帯電話向けのコンテンツ企画配信会社で、角川グループホールディングスの100%子会社。角川グループは2006年11月にNTTドコモと包括的に業務提携することを発表しており、iムービーゲートはこの一環として生まれたものだ。
iムービーゲートでは角川映画の映画コンテンツや角川書店、メディアワークスのアニメ作品のほか、グラビアアイドルの動画、アーティストのミュージックビデオなどを配信する。特にアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」「キノの旅 -the Beautiful World-」のように、グループの強みを生かした独占先行配信コンテンツが売りとなる。
アニメは1話ずつの配信だが、映画は1本まるごと配信する。映画のラインアップは当初11本と少ないが、2007年度の秋冬モデルとして登場予定のドコモ905iシリーズの発売に合わせて拡充する方針だ。
サイトは月額会員制を取る。料金コースは525円(600ポイント)、1050円(1300ポイント)の2つ。追加ポイントの購入も可能だ。コンテンツを見るのに必要なポイント数は映画の場合1本350ポイント、アニメの場合1話200ポイントが標準となる。
iアプリを使ったストリーミング配信と、iモーションによるダウンロード配信の2つがある。ストリーミングの場合、コンテンツにより再生期間に制限がある。
角川グループは多くのコンテンツ会社を持ち、iモードの公式サイトだけでも35サイトある。しかしこれまでは「それぞれの会社が競争関係にあった」(角川モバイル モバイルプラットフォーム推進本部 映像コンテンツ事業本部 副本部長兼統括プロデューサーの重信裕之氏)といい、グループとしての相乗効果を出せない状況にあった。各サイトで動画をそれぞれ配信するという案もあったが、「動画は集まったほうが力が出る」(重信氏)という考えのもと、角川モバイルが一括して提供することとした。
角川グループとしても、数多く抱えるグループ会社の連携が課題となっており、角川モバイルをモバイルサービスのハブとして位置づけている。「アニメのファンが主題歌をきっかけに音楽にも興味を持つといったようにユーザーの回遊が生まれてほしい」(角川モバイル 映像コンテンツ事業本部の濱田直樹氏)とし、iムービーゲートをきっかけに各社のモバイルサイトに新規ユーザーを誘導したい考えだ。また、各サイトで特定の行動をするとポイントがたまり、動画の視聴に使えるといった案もあるという。
角川グループには「週刊ファミ通」を持つエンターブレインや「レタスクラブ」を持つ角川SSコミュニケーションズがあることから、今後はゲームや生活情報などのコンテンツも拡充していきたいという。「モバイル動画サービスは2007年末から2008年が勝負になる。そこに向けてコンテンツを拡充していく」(濱田氏)。特に携帯電話ならではのオリジナルコンテンツを増やしていくという。また、au、ソフトバンクモバイルにも対応して配信先を増やしていく方針だ。
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