NHKはこのほど、携帯電話経由で番組に関する視聴者の意見や反応をリアルタイム収集できるシステムを開発した。番組オンエア時に「内容の評価」「画面の見やすさ」などの質問を事前登録されたユーザ端末に送信し、視聴者は質問に応じた回答を選択、NHKへと送り返す仕組み。4月16、17日に渋谷の東京放送センター内で開催された「第8回視聴者技術開発展」で展示した。
「脱・視聴率至上主義」を掲げ、質の向上を目指すNHKにとっての有効なツールになることを目指す。
テレビ番組の視聴者モニタリングはこれまで、記述式アンケートや電話調査が基本。そのため、人件費を含むコスト面の問題、また番組終了後の調査となることから結果の正確性が疑問視されるなどの課題があった。
今回開発されたシステムを利用すれば、調査活動の自動化によるコスト減が図れるほか、番組オンエア中に視聴者の「生の声」を集めることができることになり、より効果的なモニタリングを実施できるようになるという。
システム的にはまず、参加者(モニター)が事前に専用ソフトをダウンロード。番組視聴中にNHKサーバから質問が一斉に送出され、回答に参加してもらう。NHK側に寄せられた回答は即時にサーバへと送られ、リアルタイムで集計。そのため、モニター自身も「他人の反響」をまとめた集計結果を即時に閲覧することができる。
質問内容は「非常に良い〜悪い」などの5段階評価が基本としているが、通常のパケット通信を利用したシステムとなるため、メール形式でより詳細な意見を求めるなどの拡張性もあると見られる。
「NHK視聴者技術開発展示会」は、デジタル放送を安定に受信するための受信機器や測定器、人にやさしい受信機など、視聴者に密接な関係を持つ受信技術開発の成果を紹介する関係者向け内覧会で、今回で8回目。展示自体は渋谷の東京放送センターで行われるが、全国各地のNHK放送局から「アイディア技術」が集結する。
展示内容は、移動体通信端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」を含む放送受信状況の計測に関するものなど専門的な内容が多いが、地震などの災害発生時にテレビ受信機を強制起動させるシステム(緊急警報放送による自動起動装置)など、公共放送ならではの国民生活に直結する技術も少なくない。
このほか、よりよい受信環境の確保などを目指して1949年から実施している「受信実態調査」最新版の一部も紹介。同調査は、各家庭への立ち入りを前提として行われている国内唯一の受信実態調査で「NHKだからこそ、(視聴者の)お宅に上がって具体的な受信状況を確認し、アドバイスもできる」と担当者も胸をはる。
なお、最新版では、調査世帯の21%が地上デジタル対応受信機を所有しているが、うち6%程度が「デジタル受信機を持ちながらデジタル放送を受信できておらず、アナログ放送を視聴している」という実態が浮かび上がった。
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