ヤフーがYahoo!ラボで「サーチのなかみ 地域版」(地域検索)というサービスを公開している。これは、あるキーワードがどの地域からよく検索されているかを日本地図上に表示するものだ。たとえば、「京都市図書館」というキーワードなら、京都府内から多く検索されているということがわかる。
まだユーザーが自由にキーワードを入力することはできないが、ヤフーのスタッフがサイト上で紹介しているキーワードをクリックするだけでも、「浦和レッズ」は埼玉県から、「大相撲」は島根県から検索されることが多いという意外な事実がわかってくる。
さらにキーワードが検索された割合を性年代別にも分析している。たとえば「Linux」というキーワードは男性の検索率が93.4%を占め、年代別では20代が34.4%、30代が21.3%、40代が23.0%となっている。
これらのツールはYahoo!検索の技術チームが独自に開発したもので、社内での評判がよかったため一部を一般に公開したとのことだ。
Yahoo!検索ランキングを担当する池宮伸次氏(通称イケミー)はこのサーチのなかみを使って、面白いデータを導き出し、スタッフブログで公開している。これまでに紅白歌合戦と検索の関連性や、北海道と長野県にはゴキブリが少ないという仮説をYahoo!検索 スタッフブログにて披露してきた。毎回違った角度で分析した記事が人気を集めている。
池宮氏は普段、Yahoo!検索ランキングというコーナーで、急上昇ワードランキングをはじめとした各種ランキングを更新したり、それに伴う記事を書いたりしている。それらの業務を通じて、興味深いキーワードを見つけると社内で発表し、そしてブログで紹介する。10月2日に掲載された最新エントリーはこちら。
なかでも地域検索は使い方次第で多くの発見があるという。学校や図書館、役所などのキーワードは地域に密着しているため、特定地域に偏った結果が出てくる。またディズニーランドとUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を比較すると、前者は関東、後者は関西で検索されていることがはっきりとわかる。
「ネットは世界共通、国境がないと言われるが、逆にネットのなかに壁を作り、検索を地域ごとにくくっていくことで面白い特徴が見えてくる」(池宮氏)
意外なことも見えてくる。「セブンイレブン」というキーワードが検索されていない地域は、セブンイレブンの未出店地域と重なる。あるラジオ番組名が検索されている地域を調べると、そのラジオ局の受信エリアがわかる。
「ワイシャツ」「絆創膏」「ものもらい」などの呼び名が地域ごとに大きく異なることも地域検索でわかる。応用すれば民俗学的な調査にも使えそうだ。
池宮氏によれば、地域差が出るキーワードは全体の2〜3割程度だという。極端なキーワードを見つけるのは意外と難しい。そして見つけた後がさらに大変だ。注意しなければいけないことがある。
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