ネットの年賀事情

中村義哉(ネットレイティングス アナリスト)2009年02月02日 09時38分

 2009年が始まり早や1ヶ月、1月25日にはお年玉くじ付き年賀はがきの抽選発表も行われた。

 郵便事業会社が1月1日に発表した速報値では、元旦に配達された年賀郵便物は20億89百万通で、20年元旦に比べ53百万通(対前年2.6%)の増加だったという。

 インターネットや携帯電話の普及によって、年賀状(新年の挨拶というべきか)も多様化している昨今ではあるが、まだまだ、年賀状を送る習慣は健在といった数字であろう。

 しかし、年賀の手段が増えていることは周知の事実、あなたは今年どんな形で年賀の挨拶をされただろうか?

 手書きの年賀状を、フリー素材を駆使して印刷した年賀状を、携帯メールで、ネットのグリーティングカードサービスを使って、様々あると思う。そこで、今回は改めて今年の年賀事情について、ネット視聴率の側面からふりかえってみたい。

 まずは、今年、話題となった、ミクシィと日本郵政が共同で提供した新たなサービス、ミクシィ年賀状(mixi-nenga.jp)をみてみよう。

 これは、本名、住所を知らないマイミクシィ(マイミク)にでも実際の年賀状を送ることの出来るサービスである。簡単に仕組みを説明すると、年賀状を送りたい人が、テンプレートを選び、メッセージを書き、送りたいマイミクシィを選ぶ。選ばれたマイミクシィにはミクシィ上でメールが届き、受け取りを希望するなら自ら名前、住所を入力する。ると実際の年賀状が配達されるというもの。

 報道によれば2009年1月5日までの申し込み数は約70万枚に達していたようだ。では、サイトの利用状況はどうなっていたのか?利用者数は、2008年12月で94万人(前月比599%増)のアクセスがあった。

月間利用者数(千人)サブドメイン Source:Nielsen Online NetView 2008年12月 家庭と職場からのアクセス
  利用者数対前月伸び率(%)
ミクシィ年賀状940599

 次に、ネットのグリーティングカードサービスはどうだろうか。

 アクセスの多かったサイトとしては、去年まではYahooグリーティング(greetings.yahoo.co.jp)と楽天グリーティング(greeting.rakuten.co.jp)の 2サイトがあったが、Yahooグリーティング(2007年12月のアクセスは53万人)は去年の7月にサービスを終了している。楽天グリーティングをみると、その手軽さからか、年明け直前直後の週(12/29−1/4)の利用が最も多く84万人のアクセスがあった。

週別利用者数(千人)サブドメイン Source:Nielsen Online NetView 家庭と職場からのアクセス
 12/15-2112/22-2812/29-1/41/5-11
楽天グリーティング281713835493

 また、例年、この時期に特徴的なのは、郵便番号検索サービスへのアクセスが急増するため日本郵政(japanpost.jp)の利用者数が伸びることだ。週別で利用者をみると年末までは大きく利用者が伸び、1 月に減少している。元旦までには年賀はがきを届けたいと、多くの人が利用していることがわかる。

週別利用者数(千人)サブドメイン Source:Nielsen Online NetView 家庭と職場からのアクセス
 12/15-2112/22-2812/29-1/41/5-11
日本郵政3,4873,9432,7812,493

 その他、年賀状に関連するサイトの利用者も急激に伸びる傾向も健在である。去年同様に、無料年賀状素材(nengarank.com)というサイトは300万人(前月比432%増)、日本郵政グループの日本郵便が運営する郵便年賀.jp(yubin-nenga.jp)も320万人(前月比271%増)のアクセスがあった。

 最後に、それぞれのサイトを属性別にみてみると、ミクシィ年賀状では、女性の利用者の割合が64%と高く、年代別でみると20代の構成比指数※が圧倒的に高いことがわかる。ミクシィ(mixi.jp)利用者の構成比指数では20-24才は248、25-29才は179であるので、ミクシィ利用者と比べても25-29才(構成比指数:256)の利用が特に高い。

 楽天グリーティングでは、こちらも女性の割合が多く57%。年代別構成比指数では、40代後半が高くなっていた。日本郵政は、男性の利用割合が高く、構成比指数では30代、及び、50代前半に特徴が見える。

Source:Nielsen Online NetView 家庭と職場からのアクセス

 以上、ネット上の年賀事情をみてきた、特に属性でみた場合サービスにより利用傾向の違いがあった。中でもミクシィ年賀状は、年賀状離れをよく耳にする、若年層のアクセスが目立った。「住所を教え合う」行為や「はがきを投函するまでの作業」を効率化できる利便性から、若年層のニーズにもマッチしたのではないだろうか。

 また、現在は携帯電話も外せないツールである。KDDIとサミーネットワークスは2007年から「EZケータイPOST」という、携帯から年賀状を送付できるサービスを提供している。ミクシィも携帯からのアクセスがPCを上回る状況がある。携帯の動向にも目が離せない。利便性があがるのは大歓迎である。今年の年末を期待して待ちたい。

 ちなみに、今回のお年玉くじ付きはがきの景品には液晶テレビとブルーレイディスクレコーダーのセットや Wii Fitなど、人気の製品も結構ある。まだ、当選番号をチェックしていない人は、早々に確認したほうが良いだろう。

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