中国の検索サービス「Baidu.com」の日本版である「Baidu.jp」が2009年1月にサービス開始から1周年を迎える。百度代表取締役社長の井上俊一氏がこれまでの歩みと、2009年の展望について語った。
百度は2000年に北京で設立された。提供する検索サービスは現在、Google、Yahoo!に次いで世界第3位のユーザー数を誇る。売上、利益も成長を続けているという。Baidu.comで提供されているサービスはウェブ検索をメインに多岐にわたるが、特徴はコミュニティ分野に強い点だ。
なかでも人気があるのは「Post Bar」という掲示板サービスで、これは検索クエリを入力して満足できる結果が得られなかったときに、ユーザーがそのクエリに関する掲示板を作れるというもの。動画、画像もアップロードできる。「Baidu Knows」というQ&Aサービスもあり、ウェブサーチで探しても見つからない情報をユーザー同士で教えあうことができる。
日本法人は2006年12月に設立した。2007年3月にBaidu.jpをベータ版として公開し、2008年1月に正式サービスとした。日本におけるラインアップはウェブ検索、画像検索、動画検索、ブログ検索の4つだ。
2008年8月から代表取締役を務める井上氏は前職でヤフーの検索事業部長を務めた。百度に入社した経緯については、「百度が日本人社長を探していたのは、本気で日本でサービスをしようという気持ちがあったから。既存の大手サービスと互角かそれ以上に戦える有望なプレイヤーだと感じて入社した」と話す。
日本における事業活動は、検索を中心としたサービス事業の展開、中国関連事業のサポート、産学連携および事業パートナーシップの構築だ。
検索サービスは正式版を提供し、特に画像、動画検索で好評を得た。中国関連事業では中国語ユーザー向けに提供する「Baidu PHSレンタルサービス」でウィルコムと協業したり、 中国の百度に広告を出稿したい企業のサポートをしたりしている。産学連携では早稲田大学と組み、事業パートナーシップではライブドアに画像検索を提供している。
今後、百度が進むべき方向性について井上氏は次のように語った。「我々はまだまだプリミティブで、サービスを本格的に立ち上げる手前で努力している状況。まずは大量のトラフィックを捌いている中国側の技術力を活かしていきたい。プロダクトの基本コンセプトはやはり『RCF』で、Relevancy(関連性)、Comprehensive(網羅性)、Freshness(鮮度)に尽きる。だが、これらを突き詰めながらも、感性に訴えるような楽しさを提供したい」
同日に実施された画像検索、動画検索のトップページリニューアルは、検索に楽しさを加えるというミッションを意識したものだ。
画像検索のトップページは、「今日の注目画像」が最上部に6枚並ぶ。その下には、「アイドル/タレント」「テレビ/アニメ」「おもしろ画像」「壁紙」など、ジャンルごとに多くの画像が表示されている。
これまでユーザーからは、「もっと簡単に、楽しみながら画像を検索したい」という意見が寄せられていたそうだ。そこでキーワードを入力しなくても画像検索を楽しめるようなインターフェースを用意したという。
動画検索も同様に、トップページに動画のサムネイル画像を多く並べた。リニューアル前までは数枚のおすすめ動画のサムネイル画像を掲載していたが、それらの画像をクリックするユーザーが予想以上に多かったため、リニューアルを機に掲載数を増やしたという。
「検索エンジンを突き詰めるとどうしても機能に走ってしまうが、それだけでは足りない。検索という行為自体が楽しくなり、またサイトを訪れたくなるようにできないかと考えている。今後の改善、性能向上、新サービスすべてに楽しみの要素を追加したい」(井上氏)
2009年に発表する新サービスもエンターテインメント性を意識したものになる予定だという。また事業体制を強化し、上海にR&Dセンターを立ち上げる計画だ。現地では数十人単位のエンジニアが日本向け製品の開発に注力することになるという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス