先週Googleが公開した米国内インフルエンザ流行予測サイトについて、案の定、一部の個人情報保護団体が懸念を表明した。
Electronic Privacy Information Center(EPIC)とPatient Privacy Rightsは先週、Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏に書簡を送り、記録データが「開示され、それにより利用者が特定された場合、教育、雇用、保険、さらには旅行にさえも不利な結果をもたらし得る」としてGoogle Flu Trendsにおける個人情報の保護方法について開示するよう求めた。
しかし、同サイトには利用者個人を特定するような情報はまったく含まれてない。
インフルエンザ関連の症例に対する検索に基づいて推定された数字が州ごと1つずつ並んでいるだけで、これはCenters for Disease Control and Prevention(米疾病対策予防センター)が公表している地域統計と同種のものだ。
たとえば、11月9日の週における「インフルエンザ様疾患」はアラスカ州で2.035ポイント、カリフォルニア州では1.384ポイントあった。この情報から個人を特定されるのではないかと不安がるのは杞憂である。
Googleの弁護士Mike Yang氏も11月14日、記者に対し「ほかでは得られないような個人情報につながる情報は含まれていない」と述べている。
一方、EPICは同サイトの有用性は認めるものの、より微妙な問題があると主張する。
EPICのエグゼクティブディレクターMarc Rotenberg氏によると、「Googleに尋ねている問題は、基本的に、すべてのキーワードについて個人を特定される危険性がまったくない形でデータを匿名化し集計する、その仕組みについてだ」という。
言い換えれば、マリファナを違法とする州の司法当局が「マリファナの栽培方法」を検索した人物を特定する情報を同社に求めたら、あるいは、妊娠中絶を禁じている州で「妊娠を中絶する方法」を検索した人物を通知せよと求めたらどうなるか、ということだ。
いくつかの特定の単語を検索した人物をIPアドレスやクッキーの値で特定しリストを作ることができるかどうかについては筆者は過去に取材したことがあり、そのときの同社の回答は「できる」だった。またGoogleへの登録次第では、その人物の名前も分かるという(もっともGoogleは、9カ月経過したログの情報を部分的に匿名化している。また同社は過去にはデータの開示を求められ、拒否したこともある)。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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