ヤフーは7月17日に都内で会見を開き、次世代のクリック課金型広告「インタレストマッチ」を今秋より提供することを発表した。子会社であるオーバーチュア、およびブレイナーと3社共同で開発、運用する。
インタレストマッチ広告は、ユーザーが閲覧中のページの内容と行動履歴を掛け合わせ、ユーザーの興味、関心に適合した広告を表示するサービス。見た目は、すでに提供しているコンテンツ連動型広告「コンテンツマッチ」に似たクリック課金型のテキスト広告だ。表示順位はユーザーの興味関心との適合度合いと入札価格を組み合わせて決定する。
従来のコンテンツマッチはユーザーが閲覧中のページの内容と合致した広告を表示するものだったが、これではユーザーがページのどの部分に興味を持っているかがわからないという欠点があった。
これに対してインタレストマッチ広告は、ページの内容だけでなく、ユーザーの性別、年代、地域などの属性ターゲティング、過去にどういったページを見ているかといった行動ターゲティングの結果も加味してマッチング精度を高める。
ヤフー 代表取締役社長で、オーバーチュア 代表取締役社長の井上雅博氏は、インタレストマッチの利点を次のように説明する。「ユーザーが求めている情報により近い広告を出すことができるため、ユーザーにとって利便性の高い広告になる。広告主の利益も最大化できる。そんな広告商品に仕上がっている」
現在、Yahoo! Japanのページビュー(PV)は月間400億ほどあるが、そのうち200億PVにインタレストマッチを掲載する予定だという。
またオーバーチュアのパートナーサイトや、ヤフーウェブオーナーセンター(YWOC)で契約している個人のウェブサイトにも広告掲載を広げていく計画だ。
このように大量のページを配信先とすることができるインタレストマッチ広告は、「検索連動型広告に並ぶ規模の市場に成長するポテンシャルを持っている」と井上氏は期待を込めた。
「全体のインターネット利用に比べると、検索はその1割程度に収まっている。残りの8割以上は検索結果から行き着いたページを使っている。そのようなページにインタレストマッチを提供し、ターゲティングで利用者の属性、行動をあわせ、より精度の高いマッチングを行う。いろいろなサービスを持つヤフーだからこそできる広告ではないかと考えている」(井上氏)
ヤフー 広告本部長の武藤芳彦氏はインタレストマッチを活用した具体例を次のように紹介した。
国内旅行を計画している20代女性フリーライターがいるとする。数週間前から国内旅行に関するページを閲覧し、数日前には沖縄に関するページを閲覧した。そして現在はサッカー関連の記事を見ているとしよう。
この場合、これまではコンテンツマッチによってサッカーに関連した広告が表示されていたところだが、インタレストマッチを導入すると、サッカーの広告に加えて、沖縄でのダイビングに関する広告や国内旅行サイトの広告が表示されるようになる。さらに性別や居住地域、閲覧時間などでもターゲティング可能だ。
このような広告配信は、ヤフーが持つ自社とパートナーを合わせた膨大な配信トラフィック、各種ターゲティング技術、そしてそれらをマッチングさせる技術によって初めて実現できるものだと武藤氏は語る。これを図で表すと以下のようになる。
配信開始は2008年秋を予定している。まずはPC版からスタートし、ヤフーの各サービスサイトと広告ネットワークに配信する。1カ月後にはモバイルに対応し、さらに1カ月後にはオンラインからの申し込みも開始する計画だ。広告の申し込みは代理店経由で8月から受け付けるという。
インタレストマッチはコンテンツマッチの後継商品で、現行のコンテンツマッチは順次インタレストマッチに切り替えていく。すでにコンテンツマッチを利用している広告主には、インタレストマッチへの移行の案内を行う予定だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス