読売新聞東京本社は6月12日、「ヨミウリ・オンライン(YOL)」の主要ニュースとアクセスランキングのRSSフィードを配信し始めた。また、これと同時に「YOL×kizasi.jp ブログパーツ」の提供も開始した。
YOLでは、2007年2月から女性向けサイト「大手小町」の掲示板「発言小町」の新着トピックスをRSSで配信してきたが、今回はニュースの記事見出しを初めて配信する。配信するニュースはYOLトップ記事と主要ニュース5本の計6本の見出しと、直近1時間でアクセスが多かった30位までの記事の見出しだ。1日あたり100本程度の見出しが配信される見込み。発言小町のRSSと同じで、配信のシステムはトランスコスモスのRSS広告配信管理ソリューション「Pheedo」を利用しており、配信されるRSSには広告も付与される。
また、YOL×kizasi.jp ブログパーツは、きざしカンパニー協力のもと、YOLのニュースと、ブログで話題のキーワードを抽出するkizasi.jpのキーワードランキングをタブで切り替えて見られる。また、ニュースのティッカー表示、YOLの記事検索機能もある。キーワードランキングは、リストアップされた言葉をクリックすると、そのキーワードと一緒にブログで書かれた関連語と、キーワードに関連するYOLニュースの記事見出しが表示される仕組みだ。
大手の報道機関が見出しだけとはいえ、みずからがニュースをRSSで配信するのはそう多くはない。「うぬぼれかもしれないが、読売新聞がRSSを配信するということは新聞業界的にはかなりのインパクトがあるのではないだろうか。他社は目を丸くするだろう」(読売新聞グループ本社 社長室 知的財産担当 幹事 川内友明氏)と言うように、新聞業界で「記事見出し」にもっともこだわっていると知られているのが読売新聞なのだ。2002年には、インターネットに掲載した新聞社の記事の見出しを無断使用し、利益を得ているのは違法として、読売新聞東京本社がネットサービス関連企業を訴えたこともあった。
オンラインサービスでフィードの配信はかなり普及してきたが、川内氏は「見出しについてはこれまで知的財産としていろいろ検討を重ねてきた結果、遅くなった感もあるがRSSを配信することを決めた」と語る。
RSSを配信することで、YOLのサイトへどのくらいの集客が見込めるか、どのくらい反応があるかなどを見極めつつ、いわば実験的な意味合いも込めてスタートさせ、今後戦略を練っていく方針だ。それは、「今のままだと広告型でも課金型でもビジネス視点で捉えると、新聞社の現状を考えるとなかなか先行きのビジネスチャンスが見えてこない。そのため、いろいろなことにチャレンジしながら、ほかのチャンスを探っていくことにしたという積極姿勢に転換した結果の1つが今回の発表だ」(川内氏)という考えがあるためだ。
それでも、複雑な思いはまだ残る。川内氏は「新幹線の電光掲示板ニュースがいい例だが、見出しそのものがニュースという側面もあり、見出しだけを見てニュースを読んだ気になる人も多いことを考えると、本当はRSSを配信したくない気持ちもある」と真情を吐露した。さらに、「時間と共に刻々と変化していく事件、事故で、結論がどうなるんだろうとみんなが経緯を見守る中で、その結論が出た場合、その記事は本文を見にいかなくても途中経過はみんな知っているので、結果を報じた記事の見出しだけで事足りてしまうケースもある」と続けた。こうしたことも、見極めつつ、今後の戦略を練っていくということで、「いったんRSSを配信したら、『やっぱり止めます』なんてことはしない」と覚悟を決めている。
編集部注:当初、「2002年には、インターネットに掲載した新聞社の記事の見出しを無断使用し、利益を得ているのは違法として、読売新聞東京本社がネットサービス関連企業を訴えたこともあった」としていましたが、東京地裁に読売新聞東京本社が提訴したのは2002年12月24日で、2005年は10月6日に知的財産高裁で控訴審判決が下り、10月25日にその判決が確定した年であるため、本文の該当箇所も修正しました。
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