「Adobe Primetime」、日本市場で本格展開--パートナーシップを拡大

 アドビシステムズは4月11日、「Adobe Primetime」の日本市場での本格展開を開始したと発表した。Primetimeは、放送局や有料テレビサービス配信業者向けの動画配信プラットフォーム。販売と導入支援の体制を強化するとともにパートナーシップを拡大させて市場シェア獲得を目指す。

アドビシステムズ マーケティング本部 副社長 木ノ本尚道氏
アドビシステムズ マーケティング本部 副社長 木ノ本尚道氏

 マーケティング本部 副社長を務める木ノ本尚道氏は、「Primetimeは、さまざまなデバイスに最適な動画視聴体験を実現させる。さらに、われわれが提供する分析ソリューションとの連携でデータを解析すれば、視聴者の嗜好性にあわせたコンテンツのパーソナライズ化、ターゲティングされた広告挿入も可能になる」としている。

 Primetimeは、包括的なマーケティングSaaS「Adobe Marketing Cloud」の1つという位置付けだ。PCやスマートフォン、タブレット、ゲームコンソールといった視聴デバイスに著作権管理されたコンテンツを配信する。コンテンツに動画広告を挿入する機能も提供する。

 3月に開催された同社の年次コンファレンス「Adobe Summit 2016」で大幅な機能強化も発表された。今回の日本国内市場での本格展開は、「パートナーシップの拡大と、アドビ社内の販売と導入支援の体制の強化が整った」(アドビ関係者)ことが大きいという。

Adobe Marketing Cloudのソリューションポートフォリオ
Adobe Marketing Cloudのソリューションポートフォリオ
Adobe Systems Adobe Primetime担当バイスプレジデント Jeremy Helfand氏
Adobe Systems Adobe Primetime担当バイスプレジデント Jeremy Helfand氏

 会見に登壇した米本社Primetime担当バイスプレジデントのJeremy Helfand(ジェレミー・ヘルファンド)氏は、「かつてテレビは家庭内の唯一の動画視聴デバイスだった。しかし、今は、誰もが好きなときに好きなデバイスから好きなコンテンツを視聴している。動画配信業界はこうした変化に対応し、多様なビジネスモデルで収益の最大化を図る必要がある」と語る。

 また、同氏は「世界の動画配信市場規模は3500億ドルあり、日本での市場も急速に拡大している。2016年における日本のOTT(Over the Top=動画コンテンツサービス事業者もしくはコンテンツサービスそのものを指す)市場規模は、少なくとも前年比30%増となり、その後も2ケタ成長を続ける」との見解を示した。こうした状況を踏まえ同社は、動画コンテンツの制作から広告も含めた視聴測定、視聴者のエンゲージメントまで一気通貫でソリューションを提供できる強みを生かし、動画配信市場でプレゼンスを発揮していく戦略だ。

 Primetimeの機能強化では、マルチDRM(コンテンツ保護)対応のHTML5版動画プレーヤーである「Adobe Primetime TVSDK for HTML5」が追加された。そのほかにも、コンテンツ配信の計画や在庫予測、実行、測定などを担う「Adobe Primetime TVMM」、独自アルゴリズムで動画コンテンツを高精度にレコメンデーションする「Adobe Primetime Recommendations」などを提供する。

 Helfand氏は、「HTML5に対応することでモバイルブラウザにも対応した」と説明する。Primetime TVSDK for HTML5はブラウザがHTMLをサポートしているかどうかを判断し、未対応の場合は自動的にFlashに切り替わる機能を提供するという。

 これまではデバイスごとに異なるコーデック、配信形式、DRMを組み合わせた動画ファイルを用意する必要があり、配信コストの増大とシステムの複雑化が課題となっていた。Primetimeはこうした課題を解決する。また、HTML5が提供するブラウザネイティブなDRMに対応しているので、コンテンツの著作権に対する懸念も払拭される。

 Primetime Recommendationsは、新しい動画パーソナライゼーションエンジンだ。ユーザーの属性や視聴履歴、ユーザーの試聴コンテクストを分析し、最適なコンテンツを「オススメ」として提示する。Helfand氏は、「動画配信サービスのNetflixでは、70%以上の視聴者が『オススメ』された動画を視聴する傾向がある」と説明し、「Primetime Recommendationsはエンゲージメントの強化に不可欠」と強調した。


米国でのPrimetimeの導入企業。「特にスポーツ観戦コンテンツとは親和性が高い」と説明する

 パートナーシップの拡大では、システムインテグレーションのカタリナ、インターネット視聴率を測定するコムスコア・ジャパン、プレミアム動画広告配信ワークフローを提供するサイバー・コミュニケーションズ、動画ストリーミング基盤やDRM、ライブ動画広告挿入などを提供するJストリーム、Primetime TVMMの国内展開を支援するVideology Japanらと協業する。

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