ゲームの高性能化が開発の負担にはならない--バンダイナムコゲームス - (page 3)

--確かに、携帯型ゲーム機はネットワークという意味では据え置き機に先行しています。その携帯型ゲーム機についてはどう見ますか。

 DSは、今では一番ソフトの数が売れるハードです。発売当初は「ジャンルはどうしよう」「2画面をどう使いこなそう」「タッチペンをどう使おう」など、機能に翻弄されている部分がありました。今はクリエーターもユーザーも「別にすべての機能を使おうと思わなくてもいいんだ」と思い始めている。割り切って一部の機能に絞ったソフトが結構売れています。既成概念にとらわれないソフトほどヒットしていると言えるでしょう。

 例えばバンダイでいうと「たまごっちのプチプチおみせっち」があんなに売れるとは誰も思わなかった(笑)。それまでガンダムやドラゴンボールシリーズで、「もう少しでミリオンだ」とか「60万本売れた」なんて言っていたのに、たまごっちはあっさりと100万本を越えた。

 もちろん、たまごっちはターゲットである小学生女子児童向けに特化した良いものができていました。単純にたまごっちの人気だけではここまで売れない。例えばプロデューサーに「なぜ育成モードはないの? これたまごっちだよね?」と聞いても「いえ、育成はいりません」ってきっぱり言う。われわれは「たまごっちはキャラクターを育てていくゲームだ」と考えてしまうけれども、小学生女子児童はそんなことは思っていない。既成概念にとらわれてはいけないということがよく分かりました。

 一方PSPは中高生を中心とした層に支えられています。PSPはゲーム機であると同時に「クロスメディアバーを持った携帯端末」でもあるんです。ゲームはメインの一機能であって、DSとはやはりカテゴリが違う。WiiとPS3、DSとPSPは比べられがちだけど、たまたま同じゲーム機なだけであって、カテゴリは全く違う。どちらが多く台数が売れたからいい、と簡単に片付けられるものではないと思います。

--ゲームのプラットフォームには、ほかにも携帯電話などもあります。

 携帯電話を含めて考えると、将来「プレイする端末はどれでもいい」という世界がやってくるかもしれない。

 自宅では据え置き型ゲーム機と大画面ディスプレイを使ってプレイし、出先では携帯型ゲーム機や携帯電話などのモバイル端末、あるいはカーナビなどでプレイする。プレイしているゲームは1つで、サーバから与えられた情報をレンダリングする端末はどれでもかまわない。パソコンでいうところのシンクライアントのような感じでしょうか。

 じっくりプレイしたいときにはリビングで、仕事の合間に携帯電話からちょっとだけ様子を見てみるとか。電子メールだって、PCから書く長いメールもあるし、携帯電話から送る短いメールもある。そんなふうにシームレスに、状況に合わせて機器を使い分けていくのではないでしょうか。

--今後、バンダイナムコゲームス全体のブランディング展開として、考えられていることは。

 企業のカラーというのは、基本的にお客様が作り上げて行くものだと考えます。ただ、我々は社内でキャラクターやメカデザインができ、ゲーム化だけでなく、アニメ展開もグループとして可能です。今後はバンダイブランドに限らず、多方面のマルチメディア戦略を強化していきたいと考えています。例えば、今までゲームの企画を立てていた人間がアニメにも携わるということもあるかもしれません。

鵜之澤伸氏

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