モバイルでは古参ながら、このところ米Appleの「iPhone」や米Googleの「Android」に話題を奪われている米Microsoft。古くからのライバル、英Symbianも、オープンソース団体「Symbian Foundation」として、これまでのプロプライエタリからオープンソースへと戦略を180度変換したことから、Microsoftの次の一手に注目が集まっている。
そんな中、2月にスペインのバルセロナで開催された「Mobile World Congress(MWC)2009」では同社CEOのSteve Ballmer氏が登場し、最新のOS「Windows Mobile 6.5」やサービス戦略を発表、Microsoftの方向性を示した。
MWCの会場で、Microsoftモバイルコミュニケーション本部アジアパシフィック統括ディレクター、Lena Goh氏にMicrosoftのモバイル戦略について話を聞いた。
MWCでは、新OS「Windows Mobile 6.5」、新しいブランディング戦略「Windows Phone」、バックアップサービス「My Phone」、アプリケーションストア「Windows Marketplace for Mobile」の4つを発表しました。
この背景には、ユーザーを中心に、PCと携帯電話とインターネットが融合するというわれわれのビジョンがあります。ユーザーは主体的に情報を管理したりアクセスしたりできるというもので、今回発表したWindows Mobile 6.5や新サービスはそれを実現するものとなります。
パートナー各社もWindows Mobile 6.5を支持しています。韓国LG電子は、2012年までにWindows Mobile搭載機を合計50機種開発すると発表しており、台湾HTCも「Touch Diamond」でWindows Mobile 6.5搭載機を投入するとしています。台湾Acerも、Windows Mobileでスマートフォンに進出しました。当初のラインナップはWindows Mobile 6.1ベースですが、年内にWindows Mobile 6.5搭載機を発表すると述べています。
このほかにも、約20社のローンチパートナーがおり、日本ではウィルコム、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルが参加しています。東芝はMWCで「TG01」を披露していますが、これもWindows Mobile 6.5にアップグレード可能です。
Windows Mobile 6.5の最大の特徴はタッチ対応の強化です。これまでは、スタイラスを使うシングルタッチ技術を提供していました。これは、中国や日本などアジア地区での手書き文字認識ニーズに答えたものです。ただ、スタイラスベースでは、インターネットサーフィンなどの用途では操作性が限定されます。ナビゲーションという観点では、指によるタッチ対応が必要と判断しました。
そこで、消費者が携帯電話でどのようなことをしているのかを調べ、フィンガージェスチャータッチを中心に操作性を改善しました。Windows Mobile 6.5では、ワンタッチでアプリケーションにアクセスできるようになっています。
また、全体のインターフェースをシンプルにしており、Javaベースのウィジェットを利用して容易に画面をカスタマイズできます。音楽を聴きたいときも、メニュー画面に戻ってWindows Media Playerを起動する必要はなく、ウィジェットからワンタッチで楽曲を再生できます。
最新のInternet Explorer(IE) Mobileも特徴の1つです。デスクトップとモバイルの2種類のビューを用意しました。デスクトップビューでは、デスクトップと同じ画面を表示して拡大、縮小ができます。モバイルビューでは、モバイル向けに最適化されたコンテンツを利用できます。Flash Liteに対応したことで、YouTubeコンテンツも楽しめます。
われわれの独自調査では、モバイルブラウザにおけるコンプリートレベル(ユーザーがブラウザを利用して目的を達成する率:映画開始時間や商品の検索など)で、Windows Mobile 6.5に搭載されたIE Mobileはほかのブラウザを上回りました。IE Mobileはユーザーが容易に情報を探せるブラウザだといえます。
このように、Windows Mobile 6.5ではコンシューマーがワンタッチでやりたいことをできるように改良しました。
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