Chris DiBona氏のGoogleのオープンソースプログラムのマネージャーという仕事は、綱渡りだ。
Googleは自社の極めて収益性の高い事業に、数多くのオープンソースソフトウェアを使っている。Googleのオープンソース関係の仕事を監督しているDiBona氏は、Googleがそれに対して同じものを返すようにしなくてはならない。テイクだけでギブがないというのは許されない。
無料のオープンソースソフトウェアの支持者は強力な味方になりうるが、声高に非難する批評家にもなりうる。例えば、GoogleがAffero GPLライセンスをサポートしていないことを非難する人もいる。このライセンスでは、そのソフトウェアを使ってネットワークサービスを行っている者は、AGPLソフトウェアプロジェクトに対して行った修正を共有しなくてはならなくなる場合がある。
しかしDiBona氏は、Googleは行った修正を多くのオープンソースプロジェクトに還元し、一般的なオープンソースの理念を擁護し、次世代のオープンソースプログラマーを育成しようとすることで、正しいバランスを取っていると考えている。
DiBona氏はオープンソースソフトウェアの世界に10年以上いる。同氏はGoogleで仕事をする以前はSlashdotで働いており、オープンソースの議論では未だに影響力を持っている。SlashdotはLinuxサーバーメーカーのVA Linux Systemsの一部であり、1999年にサービスを開始した際に大規模な公募を行ったが、その後大幅な削減を実施している。
DiBona氏は米国時間6月2日、Google I/Oカンファレンスでオープンソースについての教義を説く予定だ。日程によれば、内容は「オープンソースはできすぎであり、魔法に違いない」というものだ。しかし、私はこの講演の前に同氏と話をし、DiBona氏のGoogleのオープンソースソフトウェアに対する見方について聞いた。(訳注:原文記事は5月28日に公開されている)
私は「誰に働きかけようとしているのか」と自問自答しました。オープンソースビジネスの世界?いいえ。オープンソースの熱狂的な支持者?いいえ。私が本当に連携したいと考えているのは、オープンソース開発者です。われわれのグループは次のようなゴールを設定しました。オープンソース開発一般を支援すること、これはオープンソースのインフラをサポートするということを意味します。Googleおよび一般のオープンソースコードのリリースを支援すること。そして最後に、より多くのオープンソース開発者を生み出すことです。これは、特に私が始めた頃がそうだったのですが、Googleはオープンソース界から多くの人材を採用し、それらの人材がその世界から去ってしまったからです。これは部分的には正しいと言えます。なぜなら、多くの人がGoogleに来て、「私は長い間自分のオープンソースプロジェクトに取り組んできたが、新しい問題に取り組みたいんだ」と言うからです。そして、われわれはかなりの新しい問題を抱えています。ですから、彼らは去ってしまったと言うこともできるでしょう。
これは残念なことです。われわれは企業として、オープンソースソフトウェアのリリースは非常に重要だと考えており、これを妨げることだけはしたくなかったからです。われわれは多くのオープンソースソフトウェアを使っています。われわれが連れてくるエンジニアは、みなオープンソースを使いたいと思っています。われわれはいつも社内に新しいパッケージやライブラリを導入しています。これを追跡するのがわれわれのグループの仕事です。われわれはGoogleが人を雇うに従って、より多くのオープンソース開発者が確実に生まれるようにしたいと考えていました。それでわれわれはGoogle Summer of Codeを考えだし、今ではその高校版もあります。私は、Googleはオープンソース界に新たな人材を作り出すにあたり、非常に実質的な影響を与えたと考えています。
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