マイクロソフトのマンディ氏、ゲイツ氏後の展望

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2007年05月30日 08時00分

 Craig Mundie氏は、Bill Gates氏の仕事を受け継ごうとしている。少なくとも、その一部を。

 Microsoftの文化の象徴であるGates氏の代わりになる人物がいないことを承知している同社は、Gates氏の役割を2人の幹部役員に振り分けた。Ray Ozzie氏はチーフソフトウエアアーキテクトの立場を継いだが、Gates氏の技術戦略とポリシを監督する役割は、Mundie氏に引き継がれた。

 Ozzie氏がMicrosoftの製品部門を再編成してオンラインサービスの世界に備える役割を負っている一方で、Mundie氏はどのように次の20億のユーザーの手にPCを行き渡らせるか、チップメーカーが単に処理速度を上げていくのではなくコアを増やしている今、ソフトウェア産業はどう改革されるべきかといった問題を扱っている。

 5月14日の週にロサンゼルスで開かれたWindows Hardware and Engineering Conferenceで行ったインタビューで、Microsoftの最高研究戦略責任者であるMundie氏は、それらの話題に加え、Gates氏がMicrosoftに毎日現れなくなった時に備える同社の全体的な取り組みについて触れた。

――Bill Gates氏は、まだ2、3のことが自分のビジョンの中にあるが、それらは自分がフルタイムで働いているうちには解決しないだろうと述べています。タブレットPCが本当に主流のインターフェースになるといったことや、同氏の夢であるWinFS、新しいファイルシステムがどうなるかなどがそれに当たるのでしょう。これら2つのプロジェクトについてはどう思われますか。

 私はBillと一緒にその両方のプロジェクトを強力に支えてきました。私は、コンピュータが人間のよりよいパートナーとなるためには、コンテキストベースの検索と双方向性がますます重要になっていくと考えています。多くの人が検索を好む理由の1つは、検索がコンテンツを指定して情報にアクセスする手段だからです。それがどこにあるかということを考えなくて済みます。人間の頭の中では、見つけやすいように、情報を特別な場所に置いておいたりはしません。ただ、欲しいと思えばその情報が引き出されます。それが人間の脳の働き方です。頭の中に小さな黄色いフォルダを作っておき「さて、今Craigと話したところだが、これはどこに置こうか」などと言ったりはしないわけです。それはどこかにしまわれるもので、人間はそれに対して連想検索を行う能力を持っています。

 人間はそういう種類のことが生まれつき好きです。しかしコンピュータはまだその域に達していません。わたしはそれがいつか起こるだろうと思っていますし、Billがスピーチの中で「大きな記憶」と呼んだこの種類の計算処理も実現するでしょう。私の言っている意味は、それらの大きな記憶はそういう種類の連想検索能力を可能にするための大きな部品になるということで、大きな計算能力も必要になるでしょう。

 このための基盤を作りつつあります。Billと私がこれから言うことの多くは、これまでほぼ15年も一緒にやってきたことです。わたしたちはそれが完全に実現するまで、明らかにまだ長くかかりそうだということに驚き、時々がっかりもしています。わたしたちがIPTVのビジョンとして知っているものは、双方向TVとして1993年に始まったものです。それがようやく今広く実現しようとしており、これには14年近くもかかりました。

 Gatesの考え方の1つに、これはRay(Ozzie)や私やMicrosoftの他の人間も共有していると思いますが、われわれが長期的な投資者だというものがあります。私たちが戦略的に重要だと考えているものを手に入れるには、非常に長い間それに付き合わなくてはなりません。そして、多くの企業はそれに耐えられないでしょう。試しに一度やってみて、うまく行かなければそれは捨てて次のことに移るものです。しかし、私の考えではMicrosoftが力を維持できている理由の1つは、どんな価値が生まれてくるか正確にはわからない、長期的な、ある意味で手綱の緩い基礎研究と、何かが重要になると思ったら、それを諦めず前向きに動き続ける能力を持っていることだろうと思います。

 そして、私はそれはうまく行ってきたと思いますし、これからもうまく行くでしょう。

――あなたは処理が行われるのがサーバ側かクライアント側かということに関して、再び振り子が振れていると話されました。Microsoftはソフトウェアを開発する方法を変えなければならないのでしょうか。

 わが社に加える必要があったのはサービスです。そして実際に加えてきました。1990年代中頃から、われわれはこれに取り組んでいたとも言えるかも知れませんが。これは新しいことです。それはMSNとして始まり、次にHotmailをやり、そしてサービス指向の資産全体に至りますが、これは10年以上経った今でも成長し続けています。究極的には、われわれはその理論の一部をプラットフォーム化し始めなければなりませんでした。それは、サービスが将来の要件を満たすような規模拡大の方法の一部になるだろうと思います。

――では、ゴールになるのは、今からしばらく経った時、開発者たちが――Windows上で動くプログラムを書くのと同じように――インターネットの上で動くプログラムを書けるようになり、そのプラットフォームを基本的にMicrosoftが提供することですか。

 ある意味では、「インターネットの上で動く」ことを考えるのは少し難しいことです。これが私がそれをソフトウェアとサービスとして考えている理由です。まだ始まったばかりとは言え、われわれは(ネットワーク上の)クラウド(cloud)ベースのサービスのAPIも提供しています。Windows上でアプリケーションを書いて、「私にLive IDを渡し、クラウドのところへ行き、このIDをチェックして、それから戻してくれ」などということもできるわけです。これは、クラウドベースのサービスを利用するローカルアプリケーションの例です。

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