検索業界の巨人Googleはオープンソースソフトウェアのヘビーユーザーであり、数々のオープンソース開発プロジェクトにも積極的に参加している。こうしたプロジェクトに資金を提供することさえあるとChris DiBona氏は言う。
Google(本社:米カリフォルニア州マウンテンビュー)のオープンソースプログラムマネジャーDiBona氏によれば、Googleの社内では「Ubuntu」のようなソフトウェアがいくつも利用されていると言う。Googleは2006年12月、社外の開発者のためにオープンソースライセンスに基づいて「Google Web Toolkit」をリリースした。Google Web ToolkitはWeb 2.0アプリケーションの開発を支援するJavaソフトウェア開発キットだ。
Googleが運営するオープンソース開発者のためのコラボレーションサイト「Google Code」では最近、同社が支援する「Net Trust」プロジェクトのソースコードも公開された。インディアナ大学のL. Jean Camp氏が始めたNet Trustは、ソーシャルネットワークのメンバーの意見をもとにウェブサイトの信頼性を判断するオンラインのフィッシング対策イニシアティブだ。
DiBona氏は先頃、CNET News.comのインタビューに応じ、Googleはこうした活動だけでなく、プロプライエタリソフトウェアも重視していると述べた。Googleのお気に入りのオープンソースプログラム、Javaのオープンソース化がGoogleに与える影響、Googleが開発者に公開しないコードがたくさんある理由をDiBona氏に聞いた。
いくつかあります。Googleのエンジニアが案件を持ち込んでくることがありますが、その際はGoogleの支援がそのプロジェクトにとって意味をなすかどうかを考えます。「意味をなす」というのは、Googleが資金を提供することによって、より多くのコードが書かれたり、オープンソース開発者が育ったり、何らかの形でオープンソースコミュニティを支援したりすることができるかということです。
Googleが資金を提供している活動はすべて、この3つのカテゴリのひとつ、または複数にあてはまります。Net Trustプロジェクトは基本的に、(インディアナ)大学のオープンソースプログラムの開発とオープンソース開発者の育成に貢献しています。このプロジェクトには多くの学生が参加しているからです。われわれはかなり自由に、こうした支援を行うことができます。
1年ほど前にGoogleのエンジニアがこのオープンソース団体にアプローチしました。彼の大学時代の友人が、ソーシャルネットワーキングを利用したフィッシング対策を研究していました。われわれはさまざまなオープンソースソフトウェアを支援していますので、このプロジェクトにも興味をそそられました。Jean(Camp)氏と会い、研究内容を見せてもらったところ、なかなかおもしろそうだったので資金を提供することにしました。
簡単に言うと、Net Trustとはサイトが本物であること--もっと重要なのは、サイトが偽物であることをユーザーが確認し合う方法です。友だちを信頼し、友だちの友だちを信頼すれば、インターネットをもう少し信頼できるようになる--これがNet Trustの考え方です。これは非常に説得力があります。
資金とオープンソースのおもしろいところは、資金は必ずしもソースコードに転換されるわけではないということです。われわれが資金を提供するのは、その資金がソースコードに転換される場合だけです。つまり、コードに重点を置いていない案件は見送ります。コードを書きたいならGoogleはよい相談相手だが、官僚的な話をするつもりならやめた方がいい--そんな評判もたっています。
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