オープンソースの次章がはじまる?

Martin LaMonica(CNET News.com)2004年11月11日 13時40分

 1997年、タイム誌はKim Poleseを、アメリカでもっとも影響力のある女性の1人に選んだ。

 しかし、運命とは気紛れなもの--一躍、時の人となったKim Poleseだが、ウェブコミュニティの有名人としてもてはやされたのは束の間のことで、その後はまたたく間に忘れ去られていった。

 PoleseはMarimba の創業者であり、Sun Microsystems時代はJavaの「顔」として、その普及に努めた人物だ。そのPoleseが今、企業にオープンソース・サービスを提供するSpikeSourceのCEOとして、ふたたび表舞台に帰ってきた。ウェブの創生期のように、何か大きなものに取り組んでいる手応えを感じるとPoleseはいう。

 CNET News.comはPoleseにインタビューを行い、ソフトウェア産業の未来について話を聞いた。Poleseによれば、手軽に手に入るソフトウェア・コンポーネントとウェブを組み合わせることにより、ソフトウェア産業は黄金期を迎える可能性があるという。

--この数年間、シリコンバレーは深刻な不況に苦しめられてきました。ITの重要性をめぐり、激しい議論が行われたこともありました。優秀な人々は、まだこの業界にとどまっているのでしょうか。それとも、もっと魅力的な技術分野に移っていったのでしょうか。

 私自身は、ソフトウェア産業は復興期に入りつつあると思っています。これは、この業界が成熟しつつあることの証であり、悪いことではありません--むしろ、歓迎すべきことです。

 身のまわりを見渡してみると、ソフトウェアは考え得るかぎりすべての機器あるいは製品に搭載されつつあります。全体としてみれば、市場規模は縮小するどころか、拡大しています。こうしたことのすべてが、ソフトウェア産業の復興を、成長を、そして次世代のはじまりを示しています。

--Larry Ellisonなどは、ソフトウェア業界では今後、大規模な整理統合が進むと予測しています。こうした発言についてどう思いますか。

 Larryのいう通り、今日の業界は整理統合され、多くの新興企業が姿を消すことになるでしょう。こうした企業は経費、営業間接費、そして大企業と渡り合うためのもろもろの出費をまかなうことができないからです。その一方で、新世代の企業も登場しています。こうした企業はウェブを使ってサービスを提供したり、オープンソース・ソフトウェアを使って、ありふれたものから革新を生み出したりしています。これこそ、人々が求めていたものではないでしょうか。

--今の状況をウェブの創生期と比べるといかがですか。1990年半ばから終わりにかけて、世界を駆け抜けたあの熱気や興奮が、オープンソースの世界で繰り返されることはあるでしょうか。

 あの頃のような盛り上がりは、私の生きている間はもうないと思います--少なくとも、この業界ではないでしょう。あの熱狂は、あの時代ならではのものでした。ウェブが彗星のように現れ、その未来について誰もが思いをめぐらせ、浮き足立ち、これは大化けするに違いないと考えました。その後の顛末は周知の通りで、シリコンバレーは第2のハリウッドとなりました。ちょうどそのときにその場に居合わせたのが私たち、つまりMarimbaと私だったのです。

--SpikeSourceが目指しているのは、IBMやMicrosoftが提供しているようなシステムを、オープンソース製品の組み合わせで実現することですか。

 そうです。今、市場ではITの開発者、設計者、そして最高情報責任者(CIO)がオープンソースを積極的に採用するという興味深い現象が起きています。現在の問題は、膨大な数のオープンソース資産をどう管理するか--オープンソース・プロジェクトの数は、今や8万5000を超えていますからね。

 ITの世界ではお馴染みのもの、たとえばサポート文書、信頼性、ロードマップといったものは、複数のオープンソース・コンポーネントに手を出した時点で期待できなくなります。複数のコンポーネントを組み合わせて、アプリケーションを構築しようと考えたIT担当者は、オープンソースの世界に製品管理は存在しないことを思い知るでしょう。ここに、我々は商機を見いだしたのです。

--IBM、Hewlett-Packard、Novellといった大企業から、JBossのような中堅企業まで、さまざまな企業がオープンソース製品のパッケージ・サービスを提供しています。あえて新会社を立ち上げた理由は何ですか。

 プラットフォーム・ベンダーがこの市場に関心を持つのは当然です。ご指摘の通り、プラットフォーム企業はこうしたサービスに関心を寄せており、実際に提供を開始したところもある。しかし、こうした企業の最終的な目的は、自社のプラットフォームを売り込み、新たな顧客を獲得することでしかありません。

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