リアルCEOが語るマイクロソフトとの「ハーモニー」 - (page 2)

John Borland(CNET News.com)2005年10月14日 20時27分

--先月までは理論上の話にすぎなかったものが、この1カ月で具体化したということですか。

 事実、契約書に署名したのは昨日(米国時間11月10日)の真夜中のことです。単なる可能性だったものが、にわかに現実味を帯び、理事会を開いて、検討を始めようということになったのは、確か先々週の末のことでした。

--18カ月前、あなたはAppleにiPodをオープン化し、他社の音楽配信サービスでも利用できるようにするべきだと迫りました。Appleがこれを突っぱねると、Microsoftと提携する可能性をちらつかせました。結果として、その通りになったわけですが、この一件と今回の提携は関係しているのでしょうか。 今回の提携にはさまざまな要因がからんでいます。その1つは相互運用性です。相互運用性が重要であることを否定する人はいませんから、これを旗印にするのは無理がありますが、これが非常に重要な要因であることに変わりはありません。

 では、今回の提携は「敵の敵は味方」という話なのかというと、そうではありません。これはもっとはるかに多次元的で、複雑な話なのです。Appleに締め出された人々が結託するのは自然の流れですが、今回の提携は単なる「ハットフィールドとマッコイ」的な敵対関係ではなく、もっと多次元的なものです。

--この提携によって、RealNetworks/Microsoft陣営とAppleの関係はどうなるのでしょうか。

 焦点となる消費者向けサービスに関していえば、今回の提携によって、当社とMicrosoftは非常に有利な立場を確保できると思います。現在、携帯音楽の分野でわれわれに欠けているのは顧客を魅了するハードウェアです。

 携帯端末市場では、iPodを超える製品はまだ登場していないといってよいでしょう。当社とMicrosoftには、ハードウェアコミュニティと協力して、より優れたソリューションを構築する動機があります。このソリューションは必ず登場します。しかし、一朝一夕というわけにはいきません。

 2005年のクリスマス商戦でiPodが大勝することは間違いありません。2006年のクリスマスも、iPodはかなりの確率で一番人気の座を堅持するでしょう。しかし、来年のクリスマス、つまり2006年には、iPodと肩を並べる有望なデバイスが登場するはずです。そのためには、われわれに協力してくれるハードウェア企業を見つける必要があります。

--今回の契約は主に音楽とゲームに関するもののようですが、Realの他の事業にも影響は及ぶのでしょうか。

 システム事業にとっては追い風になると思います。Microsoftと提携することで、暗号化されているか、されていないかを問わず、コンテンツ間の相互運用性を飛躍的に高めることができるからです。

--以前は、コピー保護のかかっているWindows Media形式のファイルを、Windows以外の機器で利用することはできませんでした。

 セキュリティルールを適用したWindows機器から、HelixやOMAなどのDRM(デジタル著作権管理)規格に準拠した機器にコンテンツを転送することは非常に困難でした。Microsoftと提携したことで、われわれは初めて、そしてどの企業よりも先に、この問題を解決できるようになったのです。

 これには大手(携帯)通信会社も、大手メディア企業も関心を持つはずですから、いきおい、当社のシステムソフトウェアの競争力は高まります。

 同じことはRealPlayerについてもいえます。われわれはWindowsユーザーがRealPlayerをもっと簡単に利用できるようにするために、さまざまな措置を講じました。

--Microsoftはサブスクリプション形式の音楽サービスを完全に諦めたわけではないようです。いずれRealとMicrosoftは競合することになるのでしょうか。

 Microsoftは2005年のクリスマス、2006年のクリスマス、およびその間の期間、MSN(とWindows Media.comなど)で当社のサービスをどのサービスよりも大々的に宣伝することを約束しました。

 もちろん、Microsoftの技術を利用したサービスを提供しているのは当社だけではありません。われわれはMicrosoftがこれらの企業の電話を無視するとか、製品の扱いをストップするといったことを求めているわけではありませんし、そうなることを期待しているわけでもありません。ただこの期間は、われわれが共同で提供するサービスが、どのサービスより--Microsoft自身のサービスより大きく扱われるということです。われわれはこの取り決めに非常に満足しています。これにより、当社の基盤はさらに強固なものとなるでしょう。

 われわれは10年間のパートナー契約を結んだわけではありません。私はcrawl-walk-runアプローチ(這い、歩き、走るといった風に段階的に進んでいく方法)で物事を進めるタイプの人間です。当社とMicrosoftはこれまで、「歩く」と「走る」の中間の速度で、逆方向に進んでいました。今は同じ方向に向かって歩いています。しかも、一部の分野では足早に歩くまでになっているのです。

--提携の範囲が、その他の製品分野にも広がる可能性はあるのでしょうか。

 この2週間で、われわれは非常に魅力的なデモ--われわれの意図を明確に示すデモを完成させました。その多くは、今回の契約によって可能になったものです。今日(11日)の共同記者会見で披露したもの以外にも、さまざまなことが計画されています。今回の発表以上のことが起きるかどうかは、徐々に明らかになっていくでしょう。

--和解金は何に利用しますか。

 われわれは良識と長期的な視点を兼ね備えた企業人であることを目指していますので、賢明で合理的なことをするつもりです。この四半期は8億ドルを超える利益が出る予定ですが、これらの資金は賢明で生産的な用途に使うつもりです。

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