RealNetworksは長年にわたり、最高経営責任者(CEO)Rob Glaserの指揮のもとで、地道な改革を続け、Microsoftという巨大企業の猛攻をかわしてきた。
米国時間10月11日、GlaserとBill Gatesはついに共同記者会見の席につき、RealNetworksがMicrosoftに対して起こしていた独占禁止法訴訟を終結させると共に、今後18カ月間にわたって、大胆なマーケティング/開発計画を共同で推進し、音楽分野での統合を積極的に進めていく方針を明らかにした。
今回の合意は、半年を超える交渉を経てまとめられたもので、GlaserとRealNetworksにとっては歴史的な転換点となる。合意後も、一部の市場では両社は引き続き競合し、独自のマルチメディアソフトウェア、携帯電話インフラ、さらには音楽ストアを提供していく。
しかし、Microsoftが自社の顧客をRealNetworksが推進する音楽サービス「Rhapsody」に送り込み、両社がソフトウェアの互換性の向上に共に取り組むことによって、紛争の火種はほぼ消えてなくなるだろう。また、訴訟に決着が付いたことで、両社は目の前の脅威に集中できるようになる。その1つは、デジタル音楽市場を支配し続けているApple Computerの存在だ。
CNET News.comはGlaserにインタビューを行い、和解に至ったいきさつ、今回の和解が今後の競争関係に与える影響などについて話を聞いた。
--和解に至ったいきさつを教えてください。
事の発端は2004年の8月、1年ほど前にさかのぼります。Harmony技術の完成を受けて、私はBill(Gates)に連絡を取り、こう伝えました。「われわれは非常に興味深い技術を開発した。この技術を使って、安全性の高いデジタル著作権管理(DRM)システムの相互運用を実現していきたい」。当社はtrusted domain内で異種フォーマットのデータをやり取りするための難題を次々と解決していきました。HarmonyはAppleが推進するFairPlayにも、Microsoftが推進するWindows Mediaにも対応しています。
Harmonyに対するMicrosoftの反応は、「すばらしい。これは顧客にとってよい話だ」というものでした。これを聞いたとき、相互運用性に対する共通の理解をもとに、新しい関係を構築できるのではないかと思いました。
--この時点ですでに技術協力は始まっていたのですか。
いいえ。初期の段階、つまりHarmonyの開発が始まった時点では、Microsoftとの協力関係は一般的な支援の範囲を出ないものでした。その後の協力関係と比べれば、はるかに小規模なものです。Harmonyを発表した時やその直後に具体的な行動は起こすつもりはありませんでしたが、提携の機会があることは明らかでした。
しかし、提携の具体的な形が見えてくるにつれて、訴訟問題が未解決のままでは、技術面や事業面で深い協力関係を築くことはできないことが分かってきました。技術や事業に関する協議を進めるためには、精神的なエネルギーが必要です。物理的にもさまざまな作業をこなさなければなりません。別のことに気を取られていては、エネルギーを集中することはできません。
--Harmonyが法律問題の突破口になるかもしれないという考えは、開発中からあったのですか。われわれはHarmonyを良いアイデアだと思っていました。Harmonyを開発したのは、それが顧客の利益になるものだったからです。Harmonyが互換性や相互運用性に関する対話の糸口になることが分かったのは、開発が終わった後のことでした。
われわれはHarmonyを「隠れ蓑」として開発したわけではありません。顧客の利益になるものだからこそ、開発したのです。しかし結果として、Harmonyは相互運用性に関する当社の技術力と戦略的コミットメントを証明するものとなりました。その意味で、Harmonyは技術協力の基盤作りに貢献したといえるかもしれません。
しかし、今回の合意に至るまでには、技術面だけでなく、経済面でも、両社が共通の見地に達する必要がありました。和解交渉はその一助となりました。マーケティング面でも合意が必要でした。つまり、今回の提携を実現するためには、3つの輪を調和させる必要があったのです。必然的に、かなりの時間がかかりましたが、われわれはそれをやり遂げました。
事態が急展開したのは、ここ1カ月のことです。この期間に、「理論上は実行可能」なアイデアが、近い将来起きる可能性の高いものに変わっていました。
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