RSSの根底に流れるマーケティングのこころ--サイドフィード設立の背景

インタビュー:別井貴志(編集部)
文:藤本京子(編集部)
2005年10月19日 16時39分

 サイボウズ在籍中に、通常のHTMLで構築されたウェブサイトのRSS化を実現するサービス「MyRSS.jp」を始めた赤松洋介氏。最初は、サイトの更新情報を自ら確認するのが面倒だという理由で、自分のために趣味で立ち上げたサービスだった。このサービスを一般公開したのが2004年1月で、その後赤松氏は2005年7月末にサイボウズを退社、8月1日にはMyRSS.jpをはじめとするRSS関連のサービスを提供する企業としてサイドフィードを設立した。

 独立後のサービス第一弾として、サイドフィードでは8月24日にMyRSS.jpの企業向けサービスとなる「RSSフィード.cc」のベータ版を提供開始した。10月19日にはこのサービスを正式版にすると共に、RSSフィード.cc専用の新サービスとして、RSSの情報を1つのページ上の好きな場所に一括表示できる「Webフィード.cc」を開始した(関連記事)。

 このように、現在サイドフィードの提供するサービスはフィードの技術が基盤となっているが、赤松氏にとってRSSなどのフィードは単なる技術に過ぎないという。同氏のこだわりは、むしろRSSを使ったマーケティング手法にあるのだ。赤松氏にサイドフィード設立の背景や今後の展開などを聞いた。

--サイボウズでは何を担当されていたのですか。また、サイボウズを辞めるきっかけとなったのは何だったのでしょう。

 サイボウズでは、「サイボウズ AG」および「サイボウズ Office 6」のプロダクトマネージャーを務めていました。辞めようと思ったのは、昔から起業したいという気持ちをずっと持ち続けていたためです。サイボウズに入社したのも、まだ社員が10人程度の頃で、会社の立ち上げを勉強したいという経緯からでした。

 今ではサイボウズの顧客基盤も安定していますし、そろそろ出てもいいかな、と思ったのがきっかけです。サイボウズは、直接マーケティングのフェーズから、ブランドを拡大して営業していくようなフェーズに移行しつつあります。これからもまだまだ成長する可能性はとても大きいですが、私が興味を持っていたのは直接マーケティングの分野だったので、サイボウズを出る決心がつきました。2005年7月末まで在籍して、8月1日に会社を設立して起業しました。

--MyRSS.jp以外にも、法人化する前にすでにブログの人気度を測定する「feed meter」や、自分のサイトがリンクされたことを通知する「track feed」など、いくつかサービスがありますね。すべてご自分で作ったのですか。

 はい。サイボウズではプロダクトマネージャーでしたが、もともと私は技術畑の人間なのです。日本では、エンジニアは経験を積んでマネージャーになり、現場から離れることが多いので、今またエンジニアのようなことをやっている私を見て「エンジニア業に逆戻りじゃないか」と言う人もいますが、これはこれで特技ですから活用したいと思っています。

--MyRSS.jpを最初に作った時は、これを事業にして会社を立ち上げる考えはありましたか。

 いえ、そこまでできるとは思っていませんでした。MyRSS.jp自体は、今でもユーザーが1万3000人ほどですし、ページビューも月間1000万〜2000万程度ですから。ただ、会社設立のきっかけとして大きかったのはfeed meterですね。これは、メーターを表示させる回数が月間7000万回にも上っています。ここまで成長したこと自体に驚いていますし、これまで(サイボウズなどで)広告に何億円と費やし、マーケティングしていたのは何だったんだろうと思ってしまいますね。

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