ビル・ゲイツ、グーグルを語る

Mike Ricciuti and Martin LaMonica (CNET News.com)2005年09月16日 10時16分

 はたして顧客はWindows Vistaを買ってくれるだろうか。

 Bill GatesとMicrosoftにとって、これは重大な問題だ。今週開幕したMicrosoftのProfessional Developers Conference(PDC)で、Gatesは一堂に会したソフトウェア開発者たち--Microsoftの最も重要な支持層--に檄を飛ばした。発売日の変更を繰り返してきた次期Windowsの「Vista」と、稼ぎ頭のOfficeの最新版「Office12」。Microsoftはこの2つの製品に対する熱狂を作り出すことができるのだろうか。

 この20年間、Gatesの持論はほとんど変わっていない。それは「コンピューティングの中心はPCであり、Windows(とOfficeやその他の製品)こそ、最良の開発プラットフォームである」というものだ。変化があったとすれば、ウェブベースの開発が大きな影響力を持つようになったことだろう。この変化はPDCにもはっきりと表れている。

 新しい潮流の申し子として、注目を集めているのがGoogleだ。その新しい開発モデルでは、複数のウェブサイトをパーツとして使いながら、アプリケーションを開発することができる。このモデルが普及すればWindowsは必要なくなるが、もちろんMicrosoftには別の考えがある。

 GatesはCNET News.comのインタビューに応じ、新旧のライバル、ソフトウェアに関する約束が果たされなかった理由、そして世界のPCの90%を握っているがために、Microsoftが置かれている微妙な立場について語った。

--ソフトウェア開発者の間では、PCではなく、ウェブ上で動くアプリケーションを開発することへの関心が高まっています。GoogleやYahooといったウェブ関連企業に、開発者の関心を奪われる恐れはありませんか。

 そのような心配はしていません。われわれは現在、「サーバ・イコール・サービス(server-equals-service)」というアーキテクチャに注目しています。このアーキテクチャを導入すれば、「Exchange Server」のすべての機能をオンラインサービスとして提供できるようになります。もちろん、従来のライセンス契約を通して、Exchange Serverを購入することも可能です。どちらの方法でも、ユーザーはExchangeの機能を同じように利用することができます。また、今回のPDCでは「MSN Search」と「MSN Virtual Earth」のAPI(application programming interfaces)を公開し、開発者がその他のサービスを利用しながら、クライアントアプリケーションを開発できるようにしました。将来的には、サーバソフトウェアを購入しようと、オンラインサービスに申し込もうと、まったく同じ機能を利用できるようになります。

 Googleがこの種のオンラインサービスに関心を持っているという噂もありますが、大きな進展はありません。当社の検索APIは、Googleの検索APIを数段上回っています。Googleがサービスの分野に取り組んでいることは確かだとしても、サーバソフトウェアに関しては、ほとんど動きはありません。Googleサーバは企業向けの検索ツールとしては失敗で、ほとんど機能しませんでした。これ以外に、Googleがサーバ関連の取り組みを行った形跡はありません。Yahooは自社をプラットフォーム企業とは考えていません。Yahooが開発者カンファレンスを開催することはないと思います。Googleは蜜月の段階にあるので、人々は「Googleがいつでも、あらゆる方法で、あらゆることをしてくれる」と考えているのです。

--それが問題なのではありませんか。蜜月の段階にあるからこそ、Googleが何かをすれば、必ず注目が集まります。

 その通りです。「Google Talk」が出れば、誰もがその話をします。もちろん、これは重大な問題です。しかし、当社にも蜜月の時代はありました。1985年から1995年頃です。楽しい日々でした。蜜月の段階にある企業と競合したことも何度もあります。しかしGoogleの蜜月は、私の知る限り、最も大規模なものかもしれません。

--Microsoftにとって、これは長期にわたる脅威となるのでしょうか。Googleのような企業が新しいウェブ開発モデルを提案すれば、人々も聞く耳を持つかもしれません。

 今のところ、Googleのサービスは開発プラットフォームとはなっていません。私は「サーバ・イコール・サービス」アプローチこそ、コンピューティング企業のビジネスを劇的に簡略化し、多様なサービスの提供を可能にするものだと確信しています。われわれは先頭に立って、このアプローチを推進していくつもりです。管理、ソフトウェアの更新、状態複製--こうしたものは、もっと自動化できるはずです。ここには業界を前進させるような重要な変化も含まれています。これは非常に複雑な作業です。こうした変化を実現するためには、信頼性と安全性を大幅に高めなければならないからです。XMLとWeb Serviceプロトコルが成熟したことで、ようやくこのプロセスに着手できるようになったのです。

 Googleからは、まだ開発ツールは提供されていません。もちろん、そうしたものが出てくるのも時間の問題でしょうが、少なくとも現時点では、Googleはこのゲームのプレイヤーではないのです。事実、Googleのスローガンは「世界中の情報を体系化する」ことです。Microsoftのスローガンは「世界中の情報を体系化するためのツールをユーザーに提供する」ことです。これはGoogleのアプローチとは少し違います。当社が目指しているのは、あらゆる機能をプラットフォームとして提供することであり、われわれ自身が情報を体系化することではありません。

--それが、現時点におけるMicrosoftとGoogleの哲学上の違いなのですか。

 もちろん、Googleの考えを完全に把握することなどできませんが、このスローガンに関する限り、われわれの意見は異なります。

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