NTTドコモは4月14日、ビジネスユーザーをターゲットとしたMotorola製端末「ビジネスFOMA M1000」を開発したと発表した。フルブラウザを搭載し、PCメールが利用できるなど、PDA並みの充実した機能を備えている。驚くべき点は、これまで同社のデータ通信事業を牽引してきたiモードに対応しないということだ。
M1000はなぜ、iモードを搭載しないという選択肢を採ったのか。そしてPDAライクなM1000は携帯電話業界に新たな変化をもたらすのだろうか。ユビキタスサービス部 ユビキタスサービス企画担当部長の丸山洋次氏に、M1000の開発経緯と狙いについて聞いた。
--どのような経緯でM1000を開発するに至ったのでしょうか。
ただ、調査をする中でビジネスパーソンを中心に「こういう機能があったらいいのに」という不満があることが分かってきました。たとえば、現在の携帯電話ではPC用サイトがきちんと見られない。iモードで一部のPC用サイトを見ることはできますが、フルインターネットという世界は実現していません。また、PowerPointやExcelなどのファイルがメールに添付されていても見ることはできません。こういった機能が携帯電話にないために、重いPCを常に持ち歩いているビジネスパーソンはかなり多いんです。
その代表的な例が、海外出張だと思います。実際に現地でやることといえばメールのチェックぐらいですよね。PowerPointを起動して資料を作成するようなことはあまりない。海外でも使えて、フルインターネットとPCメールが利用できる端末があればビジネスパーソンの需要を満たせるのではないかと考え、2003年頃にM1000の企画がスタートしました。正式に開発のゴーサインが出たのは2004年のことです。
--iモードに対応しなかったのはなぜですか。
フルインターネットの世界を現在のiモードの進化によって実現できるかといえば、やはり難しいんです。
iモードはドコモのゲートウェイ内にある守られた世界です。しかし、それゆえに制約があります。たとえば、現在のiモードではPowerPointやExcelのファイルを添付したメールを送受信することはできません。また、会社やISPのメールアドレスをそのまま使うこともできません。
iモードにオープンという発想を取り込むかという点は社内でもずいぶん議論しましたが、我々には約4400万人のiモードユーザーを守る義務があります。オープンな環境ではウイルスなどの攻撃は避けて通れません。こういったオープン環境のリスクを理解したユーザーならば問題ありませんが、あまりコンピュータに詳しくない一般のユーザーは混乱するのではないかという結論になりました。そこで、iモードとは違った路線でオープンプラットフォームを志向した端末を出そうということになったのです。
--端末はMotorolaとの共同開発ですか。
M1000は、Motorolaの「A1000」という端末をベースにしています。違う点はFOMAとして利用できるようにドコモのネットワークサービスに対応したこと、無線LANに対応していること、それから表示の日本語化などですね。
我々が求める機能をすべて搭載した端末を一から作るのは厳しいと考え、ドコモのほうからいくつかの条件を提示して端末を製造してもらえるメーカーを探しました。その結果、我々が求める時期に要求したスペックで製品を出せると確約してくれたのがMotorolaだったのです。
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