永井美智子(CNET Japan編集部)
2006/04/06 23:33
近年、スパムメールの被害は世界的に拡大の一途をたどっている。セキュリティ対策企業やISPなどはスパム対策に躍起だが、目覚ましい効果を挙げた取り組みは存在しないのが現状だ。
スパムの被害に遭っているのは、メールを大量に受信する消費者や、回線の帯域を圧迫されるISPだけではない。メールによるマーケティングを行う企業も、自社のメッセージがスパムに埋もれることでマーケティングが阻害されるという課題を抱えている。
メールマーケティング大手の米DoubleClickはこういった観点から、スパム問題には人一番敏感だ。米国で2003年に成立したスパム規制法のCAN-SPAM(Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing Act)法では、スパムとマーケティングメールの区別を明確化することに力を注いだ。
スパム対策にはどのような取り組みが効果的なのか、DoubleClick Chief Privacy Officer(CPO)のBennie L. Smith氏に話を聞いた。
--DoubleClickはスパム問題に関して熱心なようですね。
ダブルクリックは業界のリーダー的な地位にあり、インタラクティブマーケティングにおいて個人情報保護への取り組みを推進しています。スパム問題に関しては、昨年に続いて今年7月に反スパムサミットを開催しました。
ダブルクリックは顧客企業やISPと親しい関係にあり、これまでも個別に話し合いを続けてきました。しかし、三者が一堂に会してスパム対策問題について話し合うことが有意義ではないかと考え、このサミットが始まったのです。ISPとしては米国4大ISPのAOL、Yahoo、Microsoft(MSN)、EarthLinkが参加しました。企業側も米企業だけではなく世界的な企業が集まり、スパムに対する今後の取り組みについて話し合っています。
我々の顧客はスパム問題に関して非常に敏感です。そこで政府に対しては、スパム対策の法制化を働きかけました。2003年にはCAN-SPAM法が成立しています。この中で我々は、スパムとメールマーケティングを明確に区分し、スパム問題にだけ焦点を当てるよう働きかけました。
メールマーケティングでは、企業は労力や資金、時間をかけて顧客のアドレスリストを入手しています。これはスパムと大きく異なる点です。また、スパムは画一的なメッセージを大多数の人に一方的に送りつけるものですが、メールマーケティングでは受け取る側にとって有意義で関係性の高い内容を提供します。
両者の違いについては、これからも世界中で啓蒙活動を行っていく方針です。これにより、スパムに関する長期的な解決策が見いだせるのではないかと思います。スパイウェアに関しても同じことが言えます。
--しかし受け取る側から見ると、スパムとメールマーケティングを分けるのは難しいのではないですか。
スパムの定義に関する明確な合意はありません。最終的にはそれぞれの消費者が決めるものだと思います。消費者がいらないと思うメールはすべてスパムだということです。
顧客にとっての関連性と価値の2点から考えるとわかりやすいと思います。企業は顧客との関連性が強く、価値が高い情報を提供するべきです。逆に、顧客から見て関連性が薄く、価値のないメッセージは正当な送信元からのメールであってもスパムということになる。
例えば、私はニューヨークに住んでいて、ある航空会社のマイレージプログラムに入っています。この航空会社は格安航空券の情報などが記載されたニューズレターを毎週メールで送ってきます。私が利用する飛行機はほとんどニューヨークを基点とした便で、この会社は私がどういった飛行機を利用しているかを知っているにもかかわらず、マイアミ/ダラス間の格安情報などを送りつけてきます。
最初は私もメールを読んでいましたが、だんだん見なくなりました。航空券のディスカウント率がいくら高くても、自分に関連性の薄い情報はスパムと見なさざるをえないわけです。
ですから我々は顧客に対して、メールの配信戦略だけではなく、読者から見た内容の関連性をよく考えるように忠告しています。最終的には、それがマーケティングメールとスパムを分けるものになるからです。
--スパム問題を解決するにはどうしたらいいのでしょう。
スパム問題の解決法には3つの要素があります。まず、法制度が必要です。偽の電子メールヘッダを使用してはならないといった、国家レベルでの決まりが必要です。
2つめが業界内の自主努力と模範事例(ベストプラクティス)を作り出していくことです。例えば、メールのフッターに返信用の連絡先を設けて、所定の手続きをとれば配信が停止できるといったものです。
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