8月23日、各界を代表する60名以上のプロ野球ファンが発起人となった「野球の未来を創る会」が発足した。この会では9月8日のプロ野球臨時オーナー会議を前に、8月28日と9月7日の2回、2000人規模のファンを集めたイベントを開催し、プロ野球再編問題など野球の未来像について、ファンの立場から議論し、意見を発信していくという。
会の発起人には、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏や、作曲家のすぎやまこういち氏、参議院議員の鈴木寛氏らをはじめとした各界の著名人が名を連ねており、23日に帝国ホテルで行なわれた発足会にはテレビや新聞などのマスメディアが取材に集まった。
実は、会の発足には著名人ではない普通のプロ野球ファンとインターネットの力が大きく関わっていた。会のしかけ人で事務局長の池田主水氏は人材系企業に勤める普通のプロ野球ファン。オーナー会や選手会での再編に関する議論が、ファンの声を無視しているという問題意識から、会の発足を決意し、電子メールを使って友人知人に呼びかけたところ、それが急速に広がり、60名の発起人を10日で集めることができたという。
今後もプロ野球ファンの関心を高めるために、ウェブサイト上での署名運動やGREEなどのソーシャルネットワーキングサービスを使って会のマーケティングを行なっていくという。池田氏にこれまでの経緯や今後の展開について聞いた。
--野球の未来を創る会を発足させた動機について教えて下さい。
今回の再編問題がニュースになってから自分や周りの野球ファンの友人たちとこの問題についていろいろと話していたのですが、8月9日に日本プロ野球選手会が開催した「プロ野球の明日を考える会」で、パネリストや出席した多くのファンの方々から「ファンの声が全く無視されている」「ファンの声を届ける方法がない」といった指摘が多数なされていたのを見て、自分たち以外にもこの問題について話したい人が大勢いることが分かり、できるだけ多くの野球ファンを集めて球団側に声を届ける会を作ろうと考えました。
ただ、本当に自分たちのような無名のファンが集まっただけでは、世間の注目を集めるのは難しいだろうと思い、友人の紹介などを通じてスポーツジャーナリストの二宮清純さん、スポーツライターの玉木正之さんに働きかけて発起人になっていただいたというわけです。
--10日間で発起人を集めたと聞きましたが、どうやって著名人を60名以上も集めたんですか?発足会までの経緯を教えていただけますか。
二宮さん、玉木さんを中心に発起人を集めてもらい、集まった人が別の人を発起人に誘い、という形で発起人が増えていきました。友人、知人をフル動員して著名な方々に電子メール・電話・ファックスでお願いをしました。注目度が高い話題だけに、一気に増えました。まさかメジャーリーガーの方々にまで名前を連ねていただけると思いませんでした。皆さん、関心をかなり持たれていたみたいです。こんなに増えたことには僕自身も驚いてます。ありがたいことです。
--23日に発足して、28日に2000名規模のイベントというのはかなり大胆ですね。インターネットを使ったマーケティング活動を行なっているそうですが、具体的にはどうやって告知を行なっているんですか?
当会のサイトでの呼びかけを中心に、GREEや、様々な掲示板にも積極的に情報発信をしています。皆さん非常に好意的で、メーリングリストやメールマガジンでもすごい勢いで告知をしていただいています。あと、インターネットではないですが、球場に行き、試合後のファンの方にチラシを配って告知もしております。皆さん、是非日比谷に集まってください!!
--基本的なことをお聞きしますが、9月8日の臨時オーナー会議では何が決定されるのですか?
現在言われているのは事実上、1リーグにするためのリミットと言われてますよね。合併→1リーグというシナリオの結論が出る日です。
--25日現在で見るとネット上での署名数が約820名。一方で、選手会などが集めたものは42万名以上を集めています。短期的には9月8日がターゲットになっていると思いますが、何名くらいの署名を集められれば成功でしょうか。
具体的な目標は定めておりません。とにかく1名でも多くの方に署名していただきたいです。それでも目標は?と聞かれれば100万ですね。
--GREEなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に作った会のコミュニティは順調に参加者を増やしているように見えますが、SNSと今回のようなファンコミュニティのプロモーションというのは相性が良いのでしょうか?
抜群だと思います。やはり24時間どこでも誰とでもコミュニケーションをとることができ、同じ趣味・志向を持つ方同士が仲良くなり、友達が友達を呼ぶという仕組みは素晴らしいです。
--会のメンバーにはライブドアの堀江社長も参加していますが、野球の未来を創る会としてはライブドアに対してはどういうスタンスなんでしょうか。全面支援ですか?
僕らはファンと思われる著名な方々に、趣意書・発起人承諾書を一斉に送っておりますので、堀江さんは1人のファンとして入っていただけたのだと思います。ライブドアを全面支援というより、現在進められている1リーグ化、球団合併によるチーム数減少については、野球文化を衰退させるものであると考え、強く反対いたしますので、方向性は一緒なのだと思います。
--9月8日以降の活動について予定があれば教えて下さい。
具体的な活動内容は決まっていませんが、ファンの声をまとめて、日本野球機構に届けたり、会談を申し入れたりしていきたいと思っています。サッカーのサポーターなども社長さんと直接話したりしていますし。是非直接訴えていきたいです。もちろんイベントなども開催していきたいと思います。
短期的な運動に終わらせるのではなくて、野球の未来像をファンの視点で考え続けることができる団体に育っていけたらと思っています。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」