そこは課題かなと思っていますね。どうしても一般のサービスのように見せていかないと新しい人にとっては受け入れづらかったり、敷居が高くなったりしてしまうんですが、そこをどうするかというのは課題ですね。
ただ、誰でもどこかにタニマチ的な根性ってあると思うんです。ボランティア的なものをやりたいという気持ちってきっとあるじゃないですか。そういうものをニコニコ動画の中ですごく手軽にできる感覚を我々は提供できるし、ユーザーもそれを受けられる、ということを演出できると一番いいかなと思います。
ユーザーが対価を払うことに対して満足感を得ることができればお互いにハッピーですよね。いろんな人とコミュニケーションができて、かつ、ちょっと運営の手助けになるようなこともしてみた、というようなサービスになればいいかなと思うんですけどね。
いまはまだ想定の初期段階なんですが、そういうことも含めてやっていく可能性はあります。ただそこは非常に判断が難しいところで、モラルの維持に対してユーザー同士の裁定を入れるかというと、それはそれですごく難しい問題になってしまう。時間をかけないといけないかなとは思っていますね。
コンテンツホルダーでない方からの問い合わせで削除することはありません。個人の方であれば本人確認を取っていますし、法人であれば直接対話する機会を持って、どういうふうにしていくかを個別に決めています。もちろん、コンテンツホルダーの方からの問い合わせであることが明確な場合は削除します。
もともとのコンセプトとして、YouTubeにコメントを付けられるようにしたというよりも、ネットでライブ感を楽しむということがありました。お茶の間で複数人でテレビを見たり、ライブ会場に行ってみんなで盛り上がったりするのと同じです。
その先には、テレビ番組のテーマソングのCDを買ったり、ライブのDVDを買ったりといったように、いろいろなプロダクトへとつながっていくんです。それはニコニコ動画でも大いなるビジネスの可能性だよね、という話は当然していました。
ただ、開発者が共通で持っているのはユーザー視点の部分です。単純にビジネスをしたいというよりも、(コンテンツホルダー公認の動画が)きちんと配信されることでユーザーもきちんと楽しめるよね、というのが原点にはなっています。
ちょっと具体的ではないんですが、1つのメディアというよりも、生活の一部にしていけたらな、と思っています。かつて我々の生活の一部にはテレビがあって、1日を通して必ずテレビと接触する機会があったと思うんです。もしくは、携帯電話のメールを見ない時間というのは、1日の中でほとんどないですよね。それだけいろんな人の生活の中にとけ込んだ情報であり、ツールになっている。ニコニコ動画も、そういうものの1つになりたいと思っていますね。
そうですね。現にニコニコ動画はエンターテインメントというよりも、コミュニケーションの道具――ニコニコ動画の中に入って、ほかのユーザーが書き込みをしている様子を見る、誰かがいると感じる、もしくは書き込みをすることでそこにもう一歩入ってみる、ということで、ユーザーは安心していると思うんですよね。
みんな多分、すごく寂しくて、だけど、誰かがいる場所にいたいという欲求がすごくある。それが、1日の中のどこかの時間でそこに入ることによって、確実に自分の存在を確認できる。そういう場ですね。
こういうのって、世の中として見ると結構寂しい考えなんですけど(笑)。でも割とそういう悩みというか、感覚を持って生きているじゃないですか。だから、毎日必ずそことは触れている、というような場にしたいなと思いますね。
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