最終更新時刻:2008年10月6日(月) 19時43分

「事業作り」よりも「会社作り」が上手な企業へ--日本発モバイル検索支える人活術

三田隆治

2007/03/09 20:05  

 2月14日にヘラクレス上場を果たしたウェブドゥジャパンは、携帯電話向けのロボット型検索エンジン「CROOZ!」を核に、モバイル事業と人材アウトソーシングを手がける。NTTドコモのiメニューに検索エンジンを提供する13の事業者のひとつとなったことで俄かに注目を浴びることとなった。

 設立して5年。右肩上がりの急成長で上場を果たした同社社長の小渕宏二氏に、これまでの経緯と今後のビジョンについて聞いた。

一度手がけて止めた事業はない

--現在ウェブドゥジャパンが手がけている事業分野は。

 大きく3つの事業分野があります。ご存知のとおり、検索エンジン「CROOZ!」を軸としたキーワード連動型の広告事業がひとつ。2つめは、創業当初から行っているモバイルの受託ビジネスと、自社が手がける携帯キャリア公式サイト上でのコンテンツ配信。3つめは、特にIT分野を中心とした人材紹介などの人材総合サービス「CROOZ! career(クルーズキャリア)」。どれもIT・インターネットに特化したサービスです。

--2001年の創業当初は、どの分野からスタートしたのですか。

 システム開発案件の受託からはじめました。自社内では開発せず、「IT-PROワーカー」というフリーランスのエンジニアなどを組織化して再委託を行うものです。

 それから2002年のはじめに、モバイルのコンテンツプロバイダーがぐっと伸びていった時期がありました。そこにタイミングを合わせてモバイルにフォーカスしてやってきましたが、受託の経験を積むと当然開発力が付いてきますから、2003年の5月には自社自身でもサービスを開始しました。最初に手がけた自社コンテンツは、あの「熱血硬派くにおくん」というゲームの携帯アプリへの移植でした。

 そこまでの実績で、開発力は付いてきているという自信はありましたが、「今後はモバイルコンテンツビジネスも飽和するかも」という懸念もありました。そこで、今後はモバイル広告市場が伸びると見て、検索エンジンの「CROOZ!」をリリースしたのが2004年の8月です。

--今年2月の上場に至る会社の軌跡について、あらためて社長自身の口から教えて下さい。

 えっと、ぐんぐん右肩上がりに伸びてきました。これだけじゃだめですか(笑) 

 初年度(2001年度)の売上は3200万円に終わりましたが、翌年度からは、2億6200万円、9億7400万、18億5000万円、28億円と急激に成長してきました。普通、業績や売上を伸ばすときには、先行投資をしたり営業マンを採用したりと、資本がかかるわけですが、我々の場合、18億円の段階まで、銀行からの借り入れは一切ありませんでした。非常に投資効率の高いビジネスモデルだったと思っています。

--3つの事業領域で特に成長が著しかった分野は。

 どれも伸びましたね。うちが大きく伸びることができた理由は、どの部分も倍々ゲームで伸びていったからでしょう。今まで、一度手がけて止めた事業は一つもありません。

--それだけ上手くいった要因は何ですか。

 あえて言えば事業開発力があったからだと思います。しかし、実はどの事業も経験者がいてはじめたものはないんですよ。人材アウトソーシングについては、僕はもともとIBMの子会社にいたので少しは知っていましたが、僕は営業畑だったので、決しては詳しくはありませんでした。

 モバイル検索エンジンもコンテンツも、すべて未経験のところからはじめてきました。個人の能力に依存した「営業突破力」のようなものはありましたが、やはり目的意識が強かったことが勝因だと思います。優秀な人を集めることができた。あとは、根性論のように聞こえてしまうかもしれませんが、まるで蛇のように、一度お客さんに巻きついたら離れないところでしょうか(笑)

 「熱血硬派くにおくん」にしても、当時の業界ではみな版権を取りたいと思っていたけど、オリジナルを作った会社がすでに解散していたので、版権を持つ人に誰もコンタクトを取れずにいた。しかし僕は、掲示板で「くにおくん」のファンサークルを探して、そこにいた人に「どうしても開発者を知りたい」とメールして、そこから元上司、元社長へとたどり着いたんです。もしも当社がなくなったら、東京地検特捜部に就職できるんじゃないかと思ったぐらいですよ(笑)

いい加減な開発会社にはクライアントも苦しんでいる

--小渕社長がウェブドゥジャパンを設立されるまでの経緯を簡単に教えてください。

 僕は技術出身ではないですよ。ホテル学校を出てホテルマンになり、それからIBMの子会社でセールスマンをやっていました。そこは、CSKとIBMの合弁会社で、ITソリューション提案をやっていましたが、仕事も大好きだったから続けたいと思っていましたよ。そこで、新たに自分で事業企画を立ててプレゼンして分社化させてほしいと言ったんですが、やはり、メインの事業ドメイン以外を手がけるとなると、なかなか決断してもらうことはできなかったので、2001年に退職して当社を設立したんです。

--その時に提案した事業企画はどのようなものだったんですか。

 モバイルクーポンだったんですよ。今にして思えばちょっと早すぎですね。企画が通らなくて良かったですよ(笑)

--アウトソーシング業務で創業されたとき、あえて「モバイル」に特化しようとした理由はありますか。

 モバイルコンテンツなどのネット系の仕事は、実にいい加減なところが多いんですよ。「ちょっと開発ならできるから受けますよ」というような乱暴なところが多い。コンテンツの開発のプロセスがいい加減で、「よくこんなので発注するな」と思いました。でも実際は、やはり発注するクライアント側も、そうしたいい加減な開発で苦しんでいるケースが多いんですよ。

 でも我々はIBM系の会社にいて、ずっと大規模なシステムを受託してきましたから、まずは納期を遵守してキッチリと開発することなんて、当然のことだと思っていました。そうした姿勢が信用に繋がっていったと思います。

--しかし、万一エラーがあっても生命や財産に影響することが少ないモバイルコンテンツは、大規模システム開発並みの信頼性を求めたらコスト面で大変そうです。

 いや、それは気持ちの問題でカバーできるんですよ。しっかりやればコストはかかりません。キッチリとやっても、大規模なシステム開発に比べたらモバイルコンテンツの開発は規模が小さいですから、コストはかからないんです。

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