そうですね。これまで専用アプリケーションでやってきたような作業が、これからはどんどんウェブブラウザ上で可能になってきます。GoogleによるWritelyの買収などは、そんな未来を予見させます。
こうしたアプリケーションをすべてウェブブラウザのウィンドウ上で実行するのは無理があります。そこで我々はウィジェットという機能を用意して、これをブラウザウィンドウの外でも実行できるようにしました。
同じようなことはJavaでもできた、という人もいるでしょう。しかし、Javaプログラムをつくれる人と、ウェブページをつくれる人だと後者の方が圧倒的に多いのも事実です。
Web 2.0の本質的変化のひとつに、人々が情報を受け取るだけでなく発信するようになった、ということがあります。それはこうしたプログラムを作る人についてもいえるのではないでしょうか。これからはより多くの人が自作のプログラムを公開していくことになると思います。
我々のウィジェットはより標準規格に沿ったものだと思っています。Operaのウィジェット環境で動くものであれば、Mac上でもWindows上でも携帯電話上でも利用できるのはもちろんですが、他社のウィジェット環境でもそのまま動くというのが理想だと思っています。
我々はこうしたウィジェットの標準化について、WWW Consortium(W3C)のほか、AppleやMozillaの人達も参加するWHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)で話し合っています。
他の会社も独自技術を使うのではなく、公開標準に準拠する形でウィジェット技術をつくって欲しい、というのが我々の希望です。入手したウィジェットをどこの会社のウィジェット環境で実行するかは、ユーザーの判断にゆだねられるべきだと思っています。
その際、我々の強みはクロスプラットフォーム対応していることと、標準に準拠し、コンパクトで効率の高いエンジンを採用していることになります。
携帯電話版のOperaを使っていた人がデスクトップ版を使ってみたり、ニンテンドーDS版Operaのニュースを目にした人が「それじゃあ」と試してみたりする--こうした動きは確かにあります。
しかし、だからといって我々はユーザーを1つの技術、1つのプラットフォームに囲い込みたいとは考えておらず、あくまでも標準にそった効率のいいブラウザをつくることに注力しています。これは我々が創業当初から変わりません。
同期機能などについても検討はしていますし、それ以外にも、さまざまな研究開発は行っていますが、今のところ実践はしていません。
ある意味そう言えなくもありません。何しろ、Operaの最初のバージョンのコードはSun OS上でつくられたのですから(笑)。
その後、Windows版をつくり始めましたが、いつも念頭にはクロスプラットフォーム化の考えがありました。しばらくは予算がなくて他のOS版をつくれなかったのですが、Windows特有の機能などはなるべく使わずに開発を続けてきました。そのおかげで1997年、本格的なクロスプラットフォーム化を実現したときには、それほど苦労せず、スムーズな移行を果たせました。
もちろん、いくつか乗り越えなければならない課題はありました。でも全般的にみて、我々はひどい扱いを受けるようなことはありませんでした。我々はまずパソコン版Operaである程度の認知度を得ました。その後、それがきっかけでOperaフルブラウザを搭載した携帯電話が発売されると、そこからはトントン拍子で、他の携帯電話メーカーからも声がかかるようになり、最近ではニンテンドーDS版の話がでてきた、といった具合です。
我々がこの市場でこれだけ成功できたのは、日本人のユーザーが高品質へのこだわりをもった人達だからだと思います。高品質は我々のこだわりでもあり、日本ユーザーの要求は我々にとっていい努力目標にもなりました。
日本の顧客の皆様にも感謝しています。我々の成功はユーザーコミュニティーの存在なくしてはありえなかったと思っています。彼らの期待に応えるためにも、今後もパソコン版、携帯版ともにますます精進して開発をつづけていくつもりです。
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