北尾氏:先物取引が導入されたときと同じだと思うんです。現実の何倍もフューチャーズは広がっていったわけでしょ。そしてフューチャーズが投機だけでなく、現実をヘッジすることもできるようになった。仮想空間でヘッジ機能が使えても構わないはずです。仮想には仮想のマーケットがあり、現実には現実のマーケットがある。金融に非常に馴染みのある世界だと認識したからこそ、Second Lifeの仮想空間は利用できるなと思ったわけです。
北尾氏:実はGoogleの人たちって意外と現実的で、話していても新しい世界のことがあまり聞けないんです。それは彼らが巨大な成功を成し遂げてしまったからかもしれない。
いまGoogleに一番足りないものはコンテンツだと思う。うちのコンテンツに向こうが狙いをつけているのは、ネットの世界に流通する金融コンテンツを持っているグループが、当社以外日本にないからなんです。ただ、当社は新しいモノをつくらなければならないと思っているぐらいだから、どっちだっていい。SBI RoboがFastのテクノロジーを使いながら、金融ビジネスをどう巨大化させていくか、国境を越えた金融をどうつくりあげていくか──。それが我々の挑戦だと思っています。
北尾氏:ソフトバンクがたいしたものだと思うのは、日本ではグーグルがヤフーを抜けないところです。ソフトバンクの作ってきたカルチャーが、脈々と生きているからそれができている。それは孫(正義=ソフトバンク社長)さんのカルチャーといってもいいかもしれない。常に新しいことに挑戦して、自己否定、自己変革、自己進化していく。
ヤフーはもともと、広告モデルだけでした。しかし、いち早くオークション機能を取り入れる。ADSLも無理矢理入れる。そうこうするうちに、ガラッと商品構成の違う会社になっているでしょ。
だけど、ソフトバンクと一緒にやることの問題点もあります。なぜSBIグループがソフトバンクからの資本をゼロにしたか。ソフトバンクがADSLで大変なチャレンジをして、3期連続で1000億円のマイナスを計上した。ソフトバンクは孫さんの気性からして、まだまだチャレンジングです。勝つかもしれないし、負けてスッテンテンになるかもしれない。善戦しているけれど、さらに1兆6000億円出資して携帯電話会社まで買った。
でも、そんな会社が親会社だったら、うちは銀行免許なんて絶対に取れないでしょう。それと、「自分のところだけで」という発想が強い。僕は、世の中を良くするために生まれて来たなら、いいものはすべて解放すべきだと考えている。みんなに喜んでもらえればそれでいいんじゃないのという発想なんです。その辺が(孫さんとは)違う。
PTSではソフトバンクとも組むんだけど、半年、あるいは1年間だけ、ソフトバンク独占という話にしようと思っています。
北尾氏:それは取引所の設定する値段が高いからです。僕はジャスダックの諮問委員もやっているけれど、日本の取引所は、儲けそのものが少ない。
どんどん売り上げが伸びている欧米の取引所といったい何が違うのか。だからPTSでは違った考え方をしないといけない。世界20カ所で利用されているAEMS社製の最新鋭システムを使うので、うちなら配信価格を安くできる。
一方の東証は、ライブドアの出来高がちょっと増えたらパンクしちゃいましたというシステム。速度から何かから全く違う。もし、うちが取引所になることを申請するといったら、他はふっとんでしまいますよ。
北尾氏:PTSの申請を出してその許認可待ちの段階ですが、金融庁も忙しいらしく、「SBIさんだけじゃないからうちも大変なんですよ」と言われながらぐずぐずと待たされている。しかし、2月にヘンリー・ポールソン財務長官の古巣であるゴールドマン・サックス・グループが、ジャパンネクスト証券の50%の株主になったわけですから、ちょっとうるさいですよ。僕だけでもうるさいのに(笑)。
おそらく、4月中には許可が降りるんじゃないかな。本格的に開始できるのは5月からだと思っています。
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