デザインから見るデジタルプロダクツ--第11回:日立「Wooo UT」液晶テレビ - (page 2)

インタビュー・文:増田和夫 写真:津島隆雄2007年12月13日 12時00分

香水ボトルをイメージした優美なデザイン

--薄さとともにデザインも個性的ですね。こうしたデザインはどのようなポリシーから生まれたのでしょう?

山本 設計にあたって、30mm台の薄さとともに、デザイン性の高さも大前提にしました。弊社のWoooシリーズは「クール・インパクト×リアル・クオリティ」を指標に当初からデザイン性に力を注いできました。

 2002年の「Wooo 3000シリーズ」で既に黒光沢ボディを実現し、クリア素材や薄型ベゼル(枠)などのデザインもいち早く採用しています。Wooo UTシリーズでは、そうした従来機のさらに先を行く高度なデザイン性を追求しました。今までのAV機器を超えた優美な個性を表現したい、ということで「フレグランス」をデザインキーワードに“高級香水のボトル”をイメージしてデザインを行いました。また壁から離して部屋の中にも置けるように「360°beauty」をキーワードに背面まで美しいデザインで統一しています。

説明 「360°beauty」をキーワードにデザインされたボディは背面まで美しい。部屋の中央部においても、そのデザイン性と薄さで違和感を与えない(左)。カラーバリエーションを揃えたのもWooo UTシリーズの大きな特徴。写真の白は、特にインテリアに溶け込む(右)。写真はHome Theater Interior 2007会場にて。

--デザインではクリスタルカットされた半透明のベゼルが美しいですね。今までのAV機器にはない優美さが感じられます。

山本 そう評価いただけるとうれしいです。香水ボトルのクリスタル感を出すために、クリア素材を使って、ベゼルの端に半透明のクリスタルカットを施し、エッジを絞り込むことで、より一層のスリム感を演出しています。と同時に、ボトルに入っている香水の滑らかさを表すために、クリア素材の内側を曲面的にくり抜いて内側から塗装を施すことで、深みのある奥行き感も表現しています。

 デザインから見ると、この外側のスクエアさと内側の柔らかさが大きな特徴といえます。質感の確認はコンピューターグラフィックスでは難しく、実際に試作してみないと分かりません。このためデザインの試作検証に多くの時間をかけました。また、Woooステーションのデザインもクリスタルカットでコンパクトに仕上げ、リモコンにもスリムに見える工夫を施しました。ここまで繊細にデザインにこだわったテレビは初めてで、トレンドである黒光沢ボディのさらに先を行く上質感を表現できたと思っています。

--4色のボディカラーが選べるのも楽しいですね。今後にカラーリングを増やす予定はありますか?

山本 ボディカラーはブラック、ホワイトのほか、限定生産としてレッドとブルーの4色を用意しました。ベゼルなどに使用しているクリア素材の色と内面塗装の組み合わせで、カラーやテクスチャーのバリエーションが無限に作れます。Wooo UTシリーズの発表会でカラーバリエーションの参考展示を行ったように、今後はこうした展開も検討したいと考えています。

Wooo UTベゼル部分 ベゼル部分の質感とデザインは特にこだわりを見せたところ。クリア素材の内側を滑らかにくり抜き、厚みにも変化を付けている。クリア素材の色と内面塗装を変えることで、数多くのバリエーションを作成した(左)。完成品では外側に向かい樹脂の厚さを薄くし、端の部分にクリスタルカットを施すことで、より薄さを強調したデザインになっている(右)

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]