田尻 1年くらいですね。W-SIMは、機能面と端末面を切り離して考えられるので、通常の端末より開発期間を短縮できるのが強みなんです。
堀田 ええ。半年後に端末が0円になるような、今のビジネス構造とは違った流れを作れると思うんです。ユーザーは昔買ったモデルを5年後にも使えるし、W-SIMを入れ替えするだけで、気分に合わせて端末を使い分けられる。この携帯の領域を超える可能性には私自身もワクワクしていますし、今後も期待していただけるんじゃないでしょうか。他では真似できないことだと思いますし。
田尻 通話品質の進化にもカードを変えるだけで対応できますからね。もちろん昔のカードも使えるので、ユーザーにも負担が少なくむだのない仕組みなんですよ。
堀田 デザイナーとして言えば、半年後に0円や1円で売られてしまうようなプロダクトのデザインをするのは、切ないし悲しいものなんです。ビジネスの構造上仕方ないとは思うんですが、物やデザインの価値はもっと別にある気がします。ですから、W-SIMなら端末としての価値を保ちつつ、きちんとビジネスとしても成り立たせることができるんじゃないかと。
堀田 そうです。ですから定番になるデザイン作りを心がけています。9(nine)のようなシンプルな端末がある一方で、「nico.」のように雑貨テイストなデザイン手がけています。こういったポップなデザインでも3年後も「かわいい」と思ってもらえるような普遍的なもの作っていきたいですね。“流行に左右されない”のとは少し違いますが、流行を取り入れながら、筋の通ったデザインをしていきたいです。
田尻 W-SIMはどんなものでも携帯電話になる、というのがコンセプト1つなので、プラモデルみたいに自分で作れる携帯なんていいですね。ラジコンに乗せる、なんてのものもいいな。
堀田 私も携帯の領域に捕らわれない物を作りたいですね。ヘッドフォンとか、マッサージチェアとかW-SIMのスロットさえ付けば、携帯として使えるものって事欠かないんですよ。デザインって、使う時にウキウキしたり、ボロボロになっても使いたいと思わせることが重要だと思うんです。そんな風にユーザーの感覚を刺激するような物づくりをしたい。心の琴線に触れるような気になる物がデザインできたら、それが最高ですね。
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