台湾のRonald Chwang氏はArgonautのひとりです。Chwang氏は米国の大学院で学位を取得した後、シリコンバレーに移り、初期のAcerで働くようになりました。彼のキャリアはシリコンバレーで始まりましたが、後に台湾でも働き、ふたたび米国に戻って、今度はAcerの経営に参加するようになりました。現在はAcer Technology Venturesのトップです。Chwang氏のキャリアは米国と台湾の両方にまたがっています。
Min Wu氏はまず米国のIntelに就職し、さまざまな半導体企業を渡り歩いた後、台湾で起業しました。しかし、開発センターは一貫して米国に置いています。Min Wu氏はArgonautの典型です。
中国、特に上海には米国の半導体業界でキャリアを積んだ後、母国でチップの設計・製造事業を始めた人がたくさんいます。
米国経済が適応を余儀なくされたことは言うまでもありません。グローバル化が進んだ90年代末には技術者が圧倒的に不足していました。New Argonautsが米国に移住し、プログラミングやソフトウェア開発を担ったのはこの時期です。彼らが母国に戻って新しい事業を立ち上げると、米国企業はまず技術者を求めました。この結果、この種の仕事は米国から国外に移り、米国のIT人材は水準の向上を迫られることになりました。プログラミングやソフトウェアの基本知識だけでは、国内で仕事を見付けることはできなくなったからです。このような仕事は米国にはもうありません。今、求められているのは専門的な設計ノウハウです。
シリコンバレーは好況と不況を経験し、そのたびに新しい状況に順応してきました。市場が半導体からPC、PCからソフトウェア、ソフトウェアからインターネットにシフトするにつれて、eBay、Amazon、Yahooといった第一世代に続く新世代のインターネット企業が登場しました。こうした企業は現在、モバイル機器向けのコンテンツや新しい形の検索を提供しています。
政府による奨励措置はもちろん必要ありません。この40年でシリコンバレーは人々が集まり、新しいアイデアを生み出し、迅速に実行するための人材とソーシャルネットワークを持つコミュニティに成長しました。
米国には多数の技術者、マーケティング資本、経営者が揃っているだけではありません。法律家、設計者、銀行家、ベンチャーキャピタリストからなる「サプライヤーのエコシステム」も存在します。このため、たとえば新しいモバイルメディアのアイデアを思いついたら、どの国よりも早くチームを作ることができます。これはコミュニティ学習の成果であり、これを真似ることは非常に困難です。
台湾、バンガロール、上海といった新興地域はシリコンバレーの延長線上にあります。こうした地域の進化を牽引しているのはシリコンバレーと縁の深い人々です。彼らはシリコンバレーのビジネスモデルを構成しているもの--起業の文化、ベンチャーキャピタル、フラットでオープンな組織などに慣れ親しんでいます。しかし、こうした概念はインドや中国では一般的とは言えません。こうした地域の経済を支えてきたのは家族経営の企業や国営企業だからです。シリコンバレーから戻った人々は、シリコンバレーに対抗する地域を作ろうとしているわけではありません。彼らが目指しているのはシリコンバレーのパートナーになることです。
これらの地域はハイブリッド、つまりシリコンバレーと国内の企業を足して二で割ったような存在です。シリコンバレーと似てはいますが、蓄積されたノウハウや人材はありません。
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