多様性に対応できるものだけが生き残る--スクウェア・エニックスの危機感 - (page 2)

永井美智子(編集部)2006年09月22日 03時27分

--いままでとはライバルも違ってくるということでしょうか。

 そうですね。およそエンターテインメントと呼ばれるものに携わっているすべての企業と、手を握ることもできるし、競争相手にもなります。ウェブコンテンツ、映像、音楽などあらゆるものが共通の土俵に上がってくるでしょう。

 当社の事業領域も広がっていくと思います。ユーザーが広がるということは、コンテンツの中身も広がっていくということです。いろんなタイプのゲームが出てくるだけでなく、映像コンテンツのように、ゲームに関連するゲーム以外の素材も出てくるでしょう。あらゆる点で多様化していきます。

--2006年3月期の業績を見ると、これまでのヒット作の続編が好調だったものの、新しい作品のヒットには恵まれていません。多様性を掲げる経営方針に現場が追いついていないように見えます。

 やはり時間はかかります。ゲームは制作に2年くらいかかるので、常に2年後を見ながら動かないといけません。もしも私が今言っていることにたった今気が付いたとしたら、それが実現するのはどんなに早くても2年後なんです。

 実はスクウェアとエニックスが合併した3年前からこういうことを言い始めて、だんだん変わってきています。タイムスパンが長い業界なので、外から見ると遅く見えるかもしれません。

--成果が出るのはいつ頃でしょう。

 さすがに去年の段階で結果は出ません。来年、再来年といったところでしょうか。

--ゲームの作り方も変わってきていますか。

 作り方は変えます。ゲームで表現できることが非常に増えましたので、表現することに特化するために基礎部分をある程度完成させて持つようにします。共通環境とか、ミドルウェアエンジンと呼んでいますが、そういった土台部分をできるだけ作り込んでおいて、そこについてはあまり気を使わなくていいようにするんです。

 今までゲーム業界はゲームごとにプログラムを一から全部作り込んで、終わったら全部捨てていた。似たようなゲームばかりになるのを避けるためです。しかしこれでは効率が悪い。10のうち3〜4までは用意しておいて、5から始めようという形にします。

 9月1日付けで「研究開発部」という新組織を立ち上げました。これまでタイトルごとに研究開発をしていたものを1カ所にまとめ、次世代機や次のレベルのPCに合わせた共通環境を構築していきます。

--次世代機向けのソフトは開発コストが相当に上がると言われています。

 これまでと同じ作り方をしていればコストは上がります。共通環境を利用することでよりレベルの高い表現をするとともに、コスト効率も高めます。

 それから、ゲームの収入の道を増やすことも考えています。今まではパッケージ売り切り型しかなかったので、ソフトの値段が下がったら下がるに任せるしかなかった。しかしネット対応になることで、月額課金やアイテム課金、従量課金などいろいろな方法が考えられるようになります。

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