SAP CEOに聞く、エンタープライズソフトウェアの未来 - (page 2)

文:Dawn Kawamoto and Dan Farber(CNET News.com) 翻訳校正:坂和敏(編集部)2006年04月27日 23時19分

 そのような企業には会ったことがありません。しかし、もしそうした企業があるなら、そうようなやり方は長期的にはコストがかかると申し上げたいと思います。たとえオープンプラットフォームを基盤としたものであろうと、ばらばらのソリューションを寄せ集めた環境を管理するのは至難の業だからです。

 企業はSOAアーキテクチャの柔軟性をチェックし、試そうとするでしょう。ポイントソリューションを導入するかもしれません。しかしだからといって、保守や異なる供給業者を管理する手間がなくなるわけではありません。

--SAPのバックエンドミドルウェア「NetWeaver」のエコシステムは順調に構築されていますか。すでに約1000社の独立系ソフトウェアデベロッパーがNetWeaverを基盤としたアプリケーションを開発しているとか。このうち、主流になるアプリケーションはどのくらいあるのでしょうか。

 こうしたアプリケーションを開発している企業はすでにかなりの数に上ります。特に勢いがあるのは特定業界向けのアプリケーションです。Accentureが石油業界向けに開発したコンポジット(アプリケーション)はその初期の例です。

 私はソリューションを求めていたので、Accentureを訪れ、このコンポジットを見せてもらいました。しかし、それは軽量なコンポジットというより、巨大なアプリケーションと呼ぶべきものでした。

--インスタントメッセージング(IM)、wiki、ブログなどは消費者市場から始まり、企業市場に広がったアプリケーションの例です。もちろん、企業市場ではより強力で安全なバージョンが求められます。SAPがこうした裏口のアプローチを採用する可能性はあるのでしょうか。つまり、まずは消費者向けのアプリケーションを投入し、その後、企業に入り込む道を探るというやり方です。

 今日では多くの人がそうしたアプローチの可能性を考えていますが、私は懐疑的です。ほとんどの企業では物事はトップダウンで決定されます。民主的なボトムアップアプローチを採用している企業は少数派です。

 SAPのエンタープライズアプリケーションは企業のビジネスを動かしています。これは気の利いた機能を提供したり、個人やその生産性を支援したりすることとはまったく違います。当社のアプリケーションはビジネスを動かすものであり、万一供給が途絶えるようなことがあれば、企業は立ち往生してしまうでしょう。その他のアプリケーションとの違いはここにあります。

 SAPが選ばれているのは、われわれが企業のビジネスを確実に動かすことができると考えられているからです。企業は当社を信頼しており、自社の成功が、ある面ではSAPのアプリケーション提供能力にかかっていると考えています。これが違いです。ミッションクリティカルでないものから、ミッションクリティカルなものに移行することはできますが、その逆はありえません。

--ブログとwikiについてはどう思いますか。

 基本的には好感を持っています。情報や知識を共有するのはいいことですし、こうしたツールはその役に立つものですからね。

 問題は、共有される知識の質です。この点については、少し距離を置いて見ています。誰かが責任を負わなければなりません。もし、これらのツールが企業のクリティカルな領域に必要以上に入り込むようなことがあれば、私は企業は社内の資源を利用するべきだと考えるでしょう。

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