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パームの生みの親は脳の研究に首ったけ

2004/11/04 23:46
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 Redwood Neuroscience Institute(RNI)で、何の研究が行われているかは間違いようがない。施設内はどこもかしこも脳だらけだからだ。

 壁に飾られた色鮮やかな脳の写真から、大脳皮質の形をした販促用の小さなプラスチック製キーホルダーまで、この非営利の科学研究機関が取り扱うテーマに気付かないのは「脳なし」以外にあり得ない。ごく一般的な訪問者には、これらの光景は多少行き過ぎに思えるかもしれない。だが、人体で最も思考能力に富む器官である脳の研究におよそ25年もの歳月を費やしてきた人であれば、そこまで脳に入れ込むのも無理はない。

 RNIを開設したのはJeff Hawkins。PalmPilotを発明しPDA業界の誕生に貢献した同氏は、現在同研究所の所長を務めている。そんな同氏は、Palmを世に出すずっと前から、脳に興味を持っていた。Hawkinsは余暇を利用して脳研究の背後にある各種の科学を学んだ。そして、それらの分野に精通した後で、同氏は自らの理論を打ち立てたが、その内容はすでに確立されていたいくつかの理論と真っ向から対立するものだった。Hawkinsは、初めての著書「On Intelligence」(日本語版は伊藤文英訳『考える脳 考えるコンピューター』としてランダムハウス講談社より刊行)の中で、自らの理論と、その理論を使って真の知性を持つマシンを作り出すやり方を説いている。知性を持つマシンの実現は、これまでも多くの人々が、人口知能や神経ネットワークの研究を通じて取り組んできた問題だが、いまだに答えは見つかっていない。

 Hawkinsによると、同氏の発想と他の人々の発想との主な相違は、他の人々が脳の働き方についての誤った概念を用いて人間の行動を模倣しようとしている点にあるという。脳は、全てのインプットに対してアウトプットするわけではなく、代わりに経験や因果関係を保存し、それらの記憶を基に予測を立てるというのが同氏の考えだ。科学者や発明家は、知能についてのこの認識を起点とすることにより、新しく、いっそう賢いマシンを作り出すことができる、とHawkinsは語る。

 Hawkinsは、RNIの所長を務める傍ら、PalmOneで未来の携帯端末や電話機の設計を行なっているが、それだけでは物足りないと言わんばかりに、現在、それらのインテリジェントマシン開発に特化した新興企業の社長就任を検討中だという。同氏はCNET News.comとのインタビューの中で、自身の著書や脳理論について語り、さらに同氏の理論に基づくコンピュータの登場まであとどのくらい待たなければならないのかという質問にも答えてくれた。

--Hawkinsさんがこの本の執筆を開始されてからおよそ2年が経過していますが、そもそもこの本を書こうと思ったきっかけは何ですか。

 私はしばらくの間、この理論の研究に取り組んできました。その間、様々な場所に出向き、この理論について説明してきました。そして、限られた時間の中で、その理論的枠組みや理論の背後にある詳しい生物学の紹介に努めてきました。しかし、全ての基本事項を口頭で説明するのは不可能だと分かったのです。

 そんな折、ある人から「やはり、それは本にする必要があります。なぜなら、その内容を全て書き記し、人々に座ってそれを読ませるには、本にする以外方法がないからです」と提案されました。私もそれは正論だと思いました。

--より脳に近い働きをするマシンは(そうでないマシンに比べ)どのような点で優れていますか。

 現在のコンピュータは今何がなされているかを理解していません。それで、良い仕事ができないのです。音声認識などの問題は、コンピュータがただ音声を認識しようとしているにすぎない点です。コンピュータはいくつかのパターンを捕らえ、それをいくつかのテンプレートと一致させようとします。我々は音声の内容を理解しますが、現在のシステムは理解することができません。つまり、大部分が複雑な内容のデータを聞き取っても、それをテンプレートと一致させることはできないのです。

-- Hawkinsさんの著書には大脳皮質についての記述が多いですが、大脳皮質とはどのようなものですか。そして、なぜ大脳皮質がそれほど重要なのですか。

 人間の脳は基本的に2つの部分に分けることができます。上部にあるこの大きな部分が大脳皮質で、その他の部分は全て中央部にくっついています。それはまるで一本の小さな柱のように見えます。中央部にあるその柱のようなものが古い脳です。それは全ての動物にありますが、大脳皮質があるのは哺乳類だけです。

 大脳皮質はディナー用のナプキンのような薄いシートで、厚さはおよそ6ミリメートルですから、ちょうど6枚の名刺を重ね合わせたくらいの厚さです。大脳皮質は昔から全知能をつかさどる場所とされており、重要な部分です。大脳皮質は、言語、地理、音楽、芸術、プログラミング文化など、人間が考える全てのものごとを処理しています。一般により高度な思考や知覚と考えられていることは、全てこの大脳皮質で行なわれています。大脳皮質を理解することは、知能とは何かを理解する上で大きな手掛かりとなります。

 従って、もし私が知性を持つマシンを作りたくなったら、古い脳をベースにはしません。そうではなく、人間の経験の理性的部分をベースにしたいと考えています。幸い、大脳皮質はこのように極めて均一的な構造をしています。

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