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マイクロソフトが抱く100億ドルの野望

2003/02/14 17:28
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 ノースダコタ州ファーゴをハイテク産業の中心地と言う人はまずいないだろう。しかしMicrosoftは、ここ数年間で最も野心的な計画の拠点として、本社のあるシアトル地域から遠く離れたこの地を選んだ。

 その計画とは、中小企業向けソフトウェア販売に特化する100億ドル規模の子会社設立計画に他ならない。しかし同市場では新参者の部類に入るMicrosoftにとって、目標達成のために乗り越えなくてはならない障害は決して少なくない。

 中小企業部門は他の業務アプリケーションメーカーもターゲットにしており、競争が激しいだけでなく、市場自体も過去2年間は低迷状態にある。にも関わらずMicrosoftは、Great Plains Softwareと欧州市場でGreat Plainsとライバル関係にあったデンマークのNavisionの2社を買収し、Microsoft Business Solutions部門を設立した。

 そしてこの計画の指揮を任されたのが、ノースダコタ出身で元Great Plainsの最高経営責任者(CEO)、Doug Burgum(46歳)である。Great PlainsにおけるBurgumの経歴は彼が入社した1983年まで遡る。当時、Great Plainsはまだ従業員数15人のごく小さな会社だった。1997年にBurgumは同社の株式を公開し、最終的に総売上2億ドル超、従業員数2000人を超える巨大企業に育て上げた。その間Burgumは常に同社のアットホームな社風を維持し、毎年恒例のパートナー会議や社員パーティを開催してきた。

 スタンフォード経営大学院(MBA)卒で、カウボーイとしての才もあるBurgumが、多種多様なソフト製品の再編を進めつつ、Great Plains とNavisionの2社をMicrosoft の1つの子会社としてまとめあげるためには、彼自身の統率力を発揮する必要があることは間違いない。CNET News.comとのインタビューに対し、BurgumはMicrosoftの一員としての自身の人生を振り返り、低迷する業務アプリケーション市場の今後の展望や、統合される2つの企業文化に今後どう対処していくのかについて語った。

Microsoftの戦略は、会計ソフトだけでなく、事業運営に必要なすべての中堅企業向け業務アプリケーション市場を独占することにあると考えてよいでしょうか?

 今後我々が重点を置く事業は大きく4つのタイプに分けられる。給与支払名簿や支払勘定といったすべての事業に関連する中心的な機能があるが、我々はまずそのような中核分野に参画したいと考えている。

 それらの中核部分からさらに上に目を向けると、小売業、サービス業、製造業、卸売/流通業という大きな4つの事業分野が存在する。我々はアプリケーション販売を通して、それらの事業分野に拡張された機能性を提供する予定だ。そのアプリケーションはMicrosoft、もしくは提携先のソフトメーカーから購入できるようにする。この他にもソフト関連の提携企業にとって未開拓の分野はたくさんある。

Microsoftの企業アプリケーション市場への参入を、氷河の動きに例えた人がいます。すなわち、速度は大変遅いが進路にあるすべての物を押しのけながら進むという意味です。今後Microsoftは合併や持ち前の競争力により、企業アプリケーション市場においても、OSの時と同様に競争の場を狭めていくつもりですか?

 Microsoftが企業アプリケーション市場に参入してから今年の4月で2年になる。この事業分野に携わる従業員数はおよそ3900人となり、今や中堅企業向けの市場でトップの地位にある。市場での存在感が全くない状態から巨大企業へと上り詰めるという意味でMicrosoftを氷河に例えるのであれば、異論を唱えざるを得ない。

 今日の企業アプリケーション市場は、潜在的、将来的、もしくは到達すべき規模に遠く及ばない状態だ。それは、(ソフト)会社が企業に対し、ふさわしい価値を示していないからである。我々は価値の方程式を変え、より大きな市場を作るつもりだ。それにより、独立系ソフトベンダーやITサービスプロバイダなどが我々の取組みを手本にしたり、顧客にもっと充実したサービスを提供するチャンスが広がる。それこそまさに我々が思い描いている構想である。これは決してゼロサムゲームではない。

 OS事業における目標は、すべてのコンピュータに自社OSを搭載することだ。したがってOS市場の場合は、出荷されたコンピュータの台数という上限が存在する。しかし、アプリケーション市場ではその気になれば、より質の高い製品をいくらでも作り続けることができる。我々がやれることに際限はない。

 アプリケーション市場をゼロサムゲームに例える人は、今日我々が提供しているアプリケーションがいかに不十分な製品であるかを理解していない。これは決してMicrosoft製品に限ったことではない。たとえ優れた製品であっても、使用方法が難しすぎて実際に使えなかったり、あるいは保守/管理が難しいなどの問題が存在する。これらの問題を解消するために取り組むべき課題は山ほどある。

ソフト関連でさらなる取組みが必要な分野としては、他にコンピュータセキュリティが挙げられます。Microsoft製ソフトは依然として、最近猛威を振るったSlammerウイルスをはじめ、数多くのウイルスやワームの主な標的となっています。それにも関わらずMicrosoft Business Solutionsは、企業間はオンラインでつながるべきだと主張している。Microsoftの過去のセキュリティに関する事件やE-ビジネスに絶えずつきまとう危険性を考えた時に、企業がMicrosoft Business Solutionsの考えに賛同する理由とは何でしょう?

 セキュリティ問題の重要性はどんなに強調してもしすぎることはない。Microsoftが進めている主な取組みの一つに「Trustworthy Computing」構想がある。この分野にはMicrosoftをはじめ、業界の多くの企業が多額の投資を行なっている。我々は企業の一員として、またOSを提供する企業として、このような形でセキュリティ問題の解決に貢献する責任を強く感じている。我々が業界全体のためにこの問題を解決しなければ、セキュリティに対する当然の懸念からITへの投資は減少するだろう。

 (コンピュータネットワークは)自動車の運転と同じくらい気軽に使えるようにする必要がある。我々が構築するすべてのものに人間が関わっている以上、完全にリスクを無くすことは不可能だが、リスクを最小限に抑える努力が必要だ。我々は人々が安心感を得られるレベルにまでリスクを引き下げなくてはならない。業界全体の取組みとして、なるべく早期に実現する必要がある。

しかしコンピュータセキュリティが欠如している現状は、.Net 構想やBusiness Solutions Group 計画によってMicrosoft が達成しようとしていることへの障害になっているのではないですか?

 事業を進める中で何かを達成しようとする時、状況や背景には必ず「向かい風」と「追い風」が存在する。将来、システムの安全性がより強化されるという点は我々にとって追い風だ。Slammerウイルスのようなものでも、人々のセキュリティに対する意識を高める効果がある。その結果人々は、より意識的にシートベルトを締め、最新の安全機器を備えているかを確認するようになる。ネットワークセキュリティは一企業だけが責任を負っているわけではなく、すべての関係者に責任がある。その意味で社会的意識が高まることは結構なことだ。システムの安全性や性能は日々向上しており、コンピュータの性能も一層強化されている。

逆に「向かい風」は?

 社会的に、人々の準備体制が整わない可能性がある点だ。我々が製品を発売する時期と人々が安全な状態になる時期との間にタイムラグが発生する可能性がある。この点はまさにリスクと言える。

現在Microsoftは数百万行に及ぶコードで構成されるBusiness Solutions製ソフトの大半を書き換える作業に追われているが、この膨大な作業ももう一つのリスクと言えるのではないですか? Microsoftは、完了までに3年を要し、プログラマーと開発者合わせて1500人が作業に当たることになると推測していますが、この作業に関するいくつかの問題点を挙げていただけますか?

 まず、私はこのソフト書き換え作業について、最新技術を有効活用するための好機ととらえている。今日、市場では最先端かつ優れた数々のソリューションが発売されている。しかし、向こう10年以内にアーキテクチャの変化が生じるため、我々もその変化にタイミングを合わせようと努力している。そのような変化が生じた時に、新しい変換機能(transformational functionality)を有効利用するための最新かつ最も高度な能力を備えていたいと考えている。

変換機能とは何ですか?

 変換機能とは、すべての人が互いに接続し合っている状態を実現するための技術だ。膨大な量の計算をこなせる高度な計算処理能力やグローバルコンピューティングネットワークなど、まだ我々が十分に活用しきれていないものがいくつかあり、まさに今我々はその分野に力を入れている。義務ではなく自ら望んで開発に取り組んでいるのはそのような理由からだ。

 この取組みとは反対の活動をしている人がいるかもしれないと思うとスリルを感じる。多くの人々は90年代の技術を基礎にした研究開発に取り組んでいる。企業の目標は顧客、パートナー、サプライヤーとの間により良い関係を築くことである。しかし多くの優れたアイデアはきちんとした評価をされずに過去数年間で消滅してしまった。Microsoftは、今後10年間に必要な技術の開発を行うことのできる立場にあると考えている。したがって、いくつかのアイデアは失われてしまったが、我々は開発を続けていく。すべての技術開発が10年を要するわけではない。いくつかは2年か3年で完成するだろう。

Microsoft は目的達成のために、この市場においてさらなる買収も視野に入れているのですか?

 将来の買収については答えられない。現在Microsoft Business Solutionsには2つのアンカーテナント(米国のGreat Plainsと欧州のNavision)が存在する。我々はラテンアメリカやアジア太平洋地域もカバーする必要があるが、まだできていない。現在それらの地域で提携先を探しているところだ。

それらの市場に参入するためのもう一つの手段として買収も考えているということですか?

 買収もありうる。また、地域の人々や独立系ソフトベンダーと提携することで市場に参入するという方法もある。

世界的な事業規模の拡大という点で見ると、Microsoft はワシントン州レッドモンド、ノースダコタ州ファーゴ、さらにデンマークでの事業統合に手一杯の状態という印象を受けます。それはまさに文化的衝突のような状態ではないかと思っているのですが、これら3つのグループの文化的な違いに今後どのように対処していくつもりですか?

 幸いなことに、いくつか共通の文化や背景がある。例えばBusiness Solutions Group の中心的構成要素である、Great Plains、Navision、Microsoft bCentralの3社はすべてMicrosoft のプラットフォームを基礎としており、またアプリケーションを扱っている点でも共通する。さらに3社すべてが中小企業を顧客としている。文化面については、技術、顧客層、さらにソリューションを構築する際の哲学を共有すれば、基礎の部分は問題ない。したがって、文化の違いへの対処もさほど苦労はなかった。

文化的な違いはさほど重要な問題ではないということですか?

 世界規模で取組もうという努力を軽視するつもりはない。しかし、Navision とGreat Plainsはローカル企業ではないし、Microsoftは言うまでもなく世界的な大企業だ。我々の組織には多くの多様性が入り込んでいる。関係者の出身地が異なることなど大した問題ではない。言ってしまえば地球など、一つの小さな惑星にすぎない。

しかしMicrosoft 製品の再販業者の一部からは、元Great Plainsだった部門がMicrosoftとは別個に独自に事業を行っているようで、両者の調整ができていないとの不満の声が上がっています。この点は問題ではないですか?

 その問題のいくつかは、統合の自然な成り行きと関係している。我々は2年前の4月にGreat Plains の買収を完了し、7月にNavision の買収を完了した。今年の夏には、両社の統合の進展具合をお見せできるだろう。

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